語形変化の基礎

全ての (外来語を除く) 単語は、 「語根 (root)」 と呼ばれる子音列から派生する。 語根を構成する子音は 「根素 (radical)」 と呼ばれる。 語根は概ね 3 つの根素から成るが、 一部の単語では 4 つの根素から成る語根が見られ、 機能語では 1 つや 2 つの根素から成る語根も見られる。 例えば、 ше̄лах 「明るい」 は語根 √ш-л-х に由来し、 хо̄к 「親」 は語根 √х-ў-к に由来する。 後者のように、 表層形への変換によって語根が陽には見えづらくなっているものもある。

語根を構成する子音が重子音になったり、 子音の間に母音が挿入されたりすることで、 語根からは 「語幹 (stem)」 と呼ばれる形が作られる。 例えば、 語根 √ш-л-х からは ше̄лах, ашше̄лах, шало̄х などの様々な語幹が作られる。 語根から語幹が作られるパターンのことは 「語型 (pattern)」 と呼ぶ。 例えば、 語根 √ш-л-х から語幹 ше̄лах が作られる語型は 「体言 G-е 型」 と呼ばれるが、 これと同じ語型によって語根 √м-д-ц からは語幹 ме̄дац が作られる。 語型については、 #TSJ で後述する。

語形変化は、 語幹にさらに接辞を加えることで行われる。 例えば、 леше̄лахоҫше̄лах の連用青類与格定形であるが、 これは ше̄лахле--оҫ という接辞が付加されたものである。 語形変化の際に付加される接辞については、 #TSM#TSA で詳しく述べる。

なお、 根素, 語根, 語型, 語幹, 語形変化は、 全て基層形における概念であることに注意せよ。 基層において上記のような語形成や語形変化が行われた後、 表層形の変換が行われて、 実際に文で用いられる形が得られる。

語型

#TKG.一般論

語型には、 単語によって е または о になる母音が含まれることがある。 これを 「幹母音 (thematic vowel)」 と呼び、 以降 ө で表す。 幹母音がどちらになるかに規則性は見られないため、 単語ごとに記憶する他ない。

語型を示す際には、 「катте 型」 や 「като̄ппе 型」 のように、 語根の子音数に応じて √к, √к-т, √к-т-п, √ҫ-к-т-п に適用した形を用いることが多い。 また、 後述する 3 子音語型と 4 子音語型については、 「体言 G-е 型」 や 「用言 D3-о 型」 のように、 用言か体言かを示した後に語幹のタイプと幹母音を示す方法も用いられる。

#TSL.3 子音語型

3 子音語根から作られる単語の語型は、 その単語が用言か体言かに応じて 4 種類ずつ存在する。 G 型では、 3 つの根素全てが単子音として現れる。 D 型では、 3 つの根素のうち 1 つが重子音として現れ、 どの根素が重子音になるかによってさらに 3 種類に分けられる。

以下に、 各語型における語幹を示す。 語根を構成する 3 つの子音を前から順に к, т, п で表してある。

用言体言
G 型катө̄пкө̄тап
D2каттө̄пкө̄ттап
D3катө̄ппекө̄таппе
D1аккaтө̄паккө̄тап

なお、 D3 型の最後にある е は、 活用や曲用などにより母音から始まる接尾辞が付加される際に消失する。 また、 D1 型の最初にある а も同様に、 母音で終わる接頭辞が付加される際に消失する。

#TKF.4 子音語型

4 子音語根から作られる単語の語型は、 その単語が用言か体言かに応じて 2 種類ずつ存在する。 Gq 型では、 4 つの根素全てが単子音として現れる。 Dq 型では、 4 つの根素のうち第 3 根素が重子音として現れる。

以下に、 各語型における語幹を示す。 語根を構成する 4 つの子音を前から順に ҫ, к, т, п で表してある。

用言体言
Gq 型ҫакатө̄пҫакө̄тап
Dq 型ҫакаттө̄пҫакө̄ттап

#TSR.語型接辞

一部の内容語では、 上述の語型に加えてさらに接辞が付加された形が語幹になっている。 この接辞は 「語型接辞 (thematic affix)」 と呼ばれる。 例えば、 логе̄кассе は、 語根 √л-к-с から作られた体言 D2-е 型語幹 ле̄кассе に対して、 語型接辞 -ог- がさらに付加されたものである。

語型接辞が付加される場所は以下の 4 種類のいずれかである。 このうち、 語幹の先頭に付加されるものが最も数が多く、 語幹中の幹母音の直前に付加されるものが次いで多い。

幹母音の直後に付加される語型接辞は -ка- のみである。 この接辞は少し特殊で、 用言語幹にも体言語幹にも付くが、 それによって作られる単語は語幹の種類によらず常に体言になる。

また、 語末に付加される語型接辞は のみである。 この接辞は常に用言のみに付き、 再帰代名詞のような働きをして他動詞から自動詞を作る際に現れる。 そのため、 が付いている用言のことを 「再帰動詞 (reflexive verb)」 と呼ぶことがある。 この は、 他の語型接辞と異なり、 活用接尾辞が付いた場合でも常に語末に現れるので、 語幹と離れることがある。 さらに、 付加される際に母音が挿入されることもある。 これらの点で形態上特殊な振る舞いをするため、 #TDK でさらに詳しく述べる。

#TSN.その他の語型

機能語の語根は根素を 1 つか 2 つしかもたないことが多く、 その語型も特殊なものになる。 例えば、 代名詞の ха̄еиццекатте という語型から作られている。 このような語幹についての詳細は、 #TZV#TZJ に譲る。

用言の活用

#TSY.規則活用

用言は、 態, 時制, 人称, 類に従って以下に示す接辞を語幹に加えることによって活用する。 三人称には定性の区別もある点に注意せよ。

能動態 (∅), 受動態 (до̄-)
時制
現在時制 (∅), 過去時制 (-ан)
人称
三人称定 (∅), 三人称不定 (ъа-), 二人称 (с-), 一人称複数 (бам-), 一人称単数 (й-)
赤類 (), 青類 ()

過去時制を表す -ан は、 語幹の後ろに付加される。 態と人称を表す接辞は、 ともに語幹の前に付加され、 両方が付加される場合は人称を表す接辞の方が前に置かれる。 類を表す は、 三人称不定以外の人称を表す接辞の直後に付加されるのに加え、 青類の場合は語幹の最後にも付加される。

用言はさらに分詞と不定詞の形をもつ。 これらは、 上記と同じ態と時制による活用に加え、 体言と同様に連性, 類, 格, 定性による曲用ももつ。

種類
分詞 (-ра-), 不定詞 (-ла-)
能動態 (∅), 受動態 (до̄-)
時制
現在時制 (∅), 過去時制 (-ан)
連性
連用 (∅), 連体 (/-ва)
赤類 (∅/), 青類 ()
主格 (∅), 対格 (), 与格 (), 奪格 (-ӟам), 具格 (-ўат), 処格 ()
定性
定 (лө-), 不定 (∅)

種類を表す -ра--ла- は、 幹母音の直後に挿入される。 それ以外の接辞は、 上記の用言の活用や以下で述べる体言の曲用と同様の位置に付加される。

参考として、 G 型での深層形の活用形を以下に列挙する。 なお、 分詞は能動態現在時制の形のみを示してある。 また、 連続軽音節を回避するために消失する母音にはストローク符号を付けた。

G 型
現.能現.受過.能過.受
三.定.赤катө̄пдо̄ка̷тө̄пкатө̄пандо̄ка̷тө̄пан
三.定.青катө̄подо̄ка̷тө̄покатө̄па̷нодо̄ка̷тө̄па̷но
三.不定.赤ъака̷тө̄пъадо̄ка̷тө̄пъака̷тө̄панъадо̄ка̷тө̄пан
三.不定.青ъака̷тө̄поъадо̄ка̷тө̄поъака̷тө̄па̷ноъадо̄ка̷тө̄па̷но
二.赤сека̷тө̄пседо̄ка̷тө̄псека̷тө̄панседо̄ка̷тө̄пан
二.青сока̷тө̄посодо̄ка̷тө̄посока̷тө̄па̷носодо̄ка̷тө̄па̷но
一複.赤бамека̷тө̄пбаме̷до̄ка̷тө̄пбамека̷тө̄панбаме̷до̄ка̷тө̄пан
一複.青бамока̷тө̄побамо̷до̄ка̷тө̄побамока̷тө̄па̷нобамо̷до̄ка̷тө̄па̷но
一単.赤йека̷тө̄пйедо̄ка̷тө̄пйека̷тө̄панйедо̄ка̷тө̄пан
一単.青йока̷тө̄пойодо̄ка̷тө̄пойока̷тө̄па̷нойодо̄ка̷тө̄па̷но
分.赤катө̄рaпдо̄ка̷тө̄рапкатө̄ра̷пандо̄ка̷тө̄ра̷пан
分.青катө̄ра̷подо̄ка̷тө̄ра̷покатө̄ра̷панодо̄ка̷тө̄ра̷пано
不.赤катө̄лaпдо̄ка̷тө̄лапкатө̄ла̷пандо̄ка̷тө̄ла̷пан
不.青катө̄ла̷подо̄ка̷тө̄ла̷покатө̄ла̷панодо̄ка̷тө̄ла̷пано
G 型
分.能.現赤.用青.用赤.体青.体
主.不定катө̄рaпкатө̄ра̷покатө̄ра̷певкатө̄ра̷пов
対.不定катө̄ра̷пакатө̄ра̷пакатө̄ра̷павкатө̄ра̷пав
与.不定катө̄ра̷пеҫкатө̄ра̷поҫкатө̄ра̷певаҫкатө̄ра̷поваҫ
奪.不定катө̄ра̷пеӟамкатө̄ра̷поӟамкатө̄ра̷пева̷ӟамкатө̄ра̷пова̷ӟам
具.不定катө̄ра̷пеўаткатө̄ра̷поўаткатө̄ра̷пева̷ўаткатө̄ра̷пова̷ўат
処.不定катө̄ра̷пейкатө̄ра̷пойкатө̄ра̷певайкатө̄ра̷повай
主.定лөка̷тө̄раплөка̷тө̄ра̷полөка̷тө̄ра̷певлөка̷тө̄ра̷пов
対.定лөка̷тө̄ра̷палөка̷тө̄ра̷палөка̷тө̄ра̷павлөка̷тө̄ра̷пав
与.定лөка̷тө̄ра̷пеҫлөка̷тө̄ра̷поҫлөка̷тө̄ра̷певаҫлөка̷тө̄ра̷поваҫ
奪.定лөка̷тө̄ра̷пеӟамлөка̷тө̄ра̷поӟамлөка̷тө̄ра̷пева̷ӟамлөка̷тө̄ра̷пова̷ӟам
具.定лөка̷тө̄ра̷пеўатлөка̷тө̄ра̷поўатлөка̷тө̄ра̷пева̷ўатлөка̷тө̄ра̷пова̷ўат
処.定лөка̷тө̄ра̷пейлөка̷тө̄ра̷пойлөка̷тө̄ра̷певайлөка̷тө̄ра̷повай

さらに参考として、 上記を語根 √к-т-п に適用した表層形も列挙しておく。

кате̄п (√к-т-п, G-е 型)
現.能現.受過.能過.受
三.定.赤кате̄пдо̄кте̄пкате̄пандо̄кте̄пан
三.定.青кате̄подо̄кте̄покате̄пнодо̄кте̄пно
三.不定.赤акте̄падо̄кте̄пакте̄панадо̄кте̄пан
三.不定.青акте̄поадо̄кте̄поакте̄пноадо̄кте̄пно
二.赤секте̄пседо̄кте̄псекте̄панседо̄кте̄пан
二.青сокте̄посодо̄кте̄посокте̄пносодо̄кте̄пно
一複.赤бамекте̄пбандо̄кте̄пбамекте̄панбандо̄кте̄пан
一複.青бамокте̄побандо̄кте̄побамокте̄пнобандо̄кте̄пно
一単.赤икте̄пидо̄кте̄пикте̄панидо̄кте̄пан
一単.青икте̄поидо̄кте̄поикте̄пноидо̄кте̄пно
分.赤кате̄рапдо̄кте̄рапкате̄рпандо̄кте̄рпан
分.青кате̄рподо̄кте̄рпокате̄рпанодо̄кте̄рпано
不.赤кате̄лапдо̄кте̄лапкате̄лпандо̄кте̄лпан
不.青кате̄лподо̄кте̄лпокате̄лпанодо̄кте̄лпано
ке̄тап (√к-т-п, G-е 型)
赤.用青.用赤.体青.体
主.不定кате̄рапкате̄рпокате̄рпевкате̄рпов
対.不定кате̄рпакате̄рпакате̄рпавкате̄рпав
与.不定кате̄рпескате̄рпоскате̄рпеваскате̄рповас
奪.不定кате̄рпезамкате̄рпозамкате̄рпевзамкате̄рповзам
具.不定кате̄рпо̄ткате̄рпӯткате̄рпеваткате̄рповат
処.不定кате̄рпикате̄рпекате̄рпевекате̄рпове
主.定лекте̄раплекте̄рполекте̄рпевлекте̄рпов
対.定лекте̄рпалекте̄рпалекте̄рпавлекте̄рпав
与.定лекте̄рпеслекте̄рпослекте̄рпеваслекте̄рповас
奪.定лекте̄рпезамлекте̄рпозамлекте̄рпевзамлекте̄рповзам
具.定лекте̄рпо̄тлекте̄рпӯтлекте̄рпеватлекте̄рповат
処.定лекте̄рпилекте̄рпелекте̄рпевелекте̄рпове

#TDK.再帰動詞

語型接辞 は、 活用接尾辞が付いている場合でも常に語末に現れるが、 語末が子音で終わっている場合は ҙ の前にさらに母音が挿入される。 このときに挿入される母音は а もしくは е で、 類を示す母音がすでに現れている場合は а が挿入され、 そうでない場合は е が挿入される。

参考として、 G 型での深層形の活用形を以下に列挙する。 なお、 分詞は能動態現在時制の形のみを示してある。 また、 連続軽音節を回避するために消失する母音にはストローク符号を付けた。

G 型
現.能現.受過.能過.受
三.定.赤катө̄пеҙдо̄ка̷тө̄пеҙкатө̄па̷неҙдо̄ка̷тө̄па̷неҙ
三.定.青катө̄поҙдо̄ка̷тө̄поҙкатө̄па̷ноҙдо̄ка̷тө̄па̷ноҙ
三.不定.赤ъака̷тө̄пеҙъадо̄ка̷тө̄пеҙъака̷тө̄па̷неҙъадо̄ка̷тө̄па̷неҙ
三.不定.青ъака̷тө̄поҙъадо̄ка̷тө̄поҙъака̷тө̄па̷ноъадо̄ка̷тө̄па̷ноҙ
二.赤сека̷тө̄пеҙседо̄ка̷тө̄пеҙсека̷тө̄па̷неҙседо̄ка̷тө̄па̷неҙ
二.青сока̷тө̄поҙсодо̄ка̷тө̄поҙсока̷тө̄па̷ноҙсодо̄ка̷тө̄па̷ноҙ
一複.赤бамека̷тө̄пеҙбаме̷до̄ка̷тө̄пеҙбамека̷тө̄па̷неҙбаме̷до̄ка̷тө̄па̷неҙ
一複.青бамока̷тө̄поҙбамо̷до̄ка̷тө̄поҙбамока̷тө̄па̷ноҙбамо̷до̄ка̷тө̄па̷ноҙ
一単.赤йека̷тө̄пеҙйедо̄ка̷тө̄пеҙйека̷тө̄па̷неҙйедо̄ка̷тө̄па̷неҙ
一単.青йока̷тө̄поҙйодо̄ка̷тө̄поҙйока̷тө̄па̷ноҙйодо̄ка̷тө̄па̷ноҙ
G 型
分.能.現赤.用青.用赤.体青.体
主.不定катө̄ра̷пеҙкатө̄ра̷поҙкатө̄ра̷певаҙкатө̄ра̷поваҙ
対.不定катө̄ра̷паҙкатө̄ра̷паҙкатө̄ра̷паваҙкатө̄ра̷паваҙ
与.不定катө̄ра̷пеҫаҙкатө̄ра̷поҫаҙкатө̄ра̷пева̷ҫаҙкатө̄ра̷пова̷ҫаҙ
奪.不定катө̄ра̷пеӟа̷маҙкатө̄ра̷поӟа̷маҙкатө̄ра̷пева̷ӟамаҙкатө̄ра̷пова̷ӟамаҙ
具.不定катө̄ра̷пеўа̷таҙкатө̄ра̷поўа̷таҙкатө̄ра̷пева̷ўатаҙкатө̄ра̷пова̷ўатаҙ
処.不定катө̄ра̷пейаҙкатө̄ра̷пойаҙкатө̄ра̷пева̷йаҙкатө̄ра̷пова̷йаҙ
主.定лөка̷тө̄рапеҙлөка̷тө̄ра̷поҙлөка̷тө̄ра̷певаҙлөка̷тө̄ра̷поваҙ
対.定лөка̷тө̄ра̷паҙлөка̷тө̄ра̷паҙлөка̷тө̄ра̷паваҙлөка̷тө̄ра̷паваҙ
与.定лөка̷тө̄ра̷пеҫаҙлөка̷тө̄ра̷поҫаҙлөка̷тө̄ра̷пева̷ҫаҙлөка̷тө̄ра̷пова̷ҫаҙ
奪.定лөка̷тө̄ра̷пеӟа̷маҙлөка̷тө̄ра̷поӟа̷маҙлөка̷тө̄ра̷пева̷ӟамаҙлөка̷тө̄ра̷пова̷ӟамаҙ
具.定лөка̷тө̄ра̷пеўа̷таҙлөка̷тө̄ра̷поўа̷таҙлөка̷тө̄ра̷пева̷ўатаҙлөка̷тө̄ра̷пова̷ўатаҙ
処.定лөка̷тө̄ра̷пейаҙлөка̷тө̄ра̷пойаҙлөка̷тө̄ра̷пева̷йаҙлөка̷тө̄ра̷пова̷йаҙ

さらに参考として、 上記を語根 √к-т-п に適用した表層形も列挙しておく。

кате̄пез (√к-т-п, G-е 型)
現.能現.受過.能過.受
三.定.赤кате̄пездо̄кте̄пезкате̄пнездо̄кте̄пнез
三.定.青кате̄поздо̄кте̄позкате̄пноздо̄кте̄пноз
三.不定.赤акте̄пезадо̄кте̄пезакте̄пнезадо̄кте̄пнез
三.不定.青акте̄позадо̄кте̄позакте̄пнозадо̄кте̄пноз
二.赤секте̄пезседо̄кте̄пезсекте̄пнезседо̄кте̄пнез
二.青сокте̄позсодо̄кте̄позсокте̄пнозсодо̄кте̄пноз
一複.赤бамекте̄пезбандо̄кте̄пезбамекте̄пнезбандо̄кте̄пнез
一複.青бамокте̄позбандо̄кте̄позбамокте̄пнозбандо̄кте̄пноз
一単.赤икте̄пезидо̄кте̄пезикте̄пнезидо̄кте̄пнез
一単.青икте̄позидо̄кте̄позикте̄пнозидо̄кте̄пноз
ке̄тап (√к-т-п, G-е 型)
分.能.現赤.用青.用赤.体青.体
主.不定кате̄рпезкате̄рпозкате̄рпевазкате̄рповаз
対.不定кате̄рпазкате̄рпазкате̄рпавазкате̄рпаваз
与.不定кате̄рпесазкате̄рпосазкате̄рпевсазкате̄рповсаз
奪.不定кате̄рпезмазкате̄рпозмазкате̄рпевзамазкате̄рповзамаз
具.不定кате̄рпотазкате̄рпутазкате̄рпеватазкате̄рповатаз
処.不定кате̄рпӣзкате̄рпе̄зкате̄рпевазкате̄рповаз
主.定лекте̄рапезлекте̄рпозлекте̄рпевазлекте̄рповаз
対.定лекте̄рпазлекте̄рпазлекте̄рпавазлекте̄рпаваз
与.定лекте̄рпесазлекте̄рпосазлекте̄рпевсазлекте̄рповсаз
奪.定лекте̄рпезмазлекте̄рпозмазлекте̄рпевзамазлекте̄рповзамаз
具.定лекте̄рпотазлекте̄рпутазлекте̄рпеватазлекте̄рповатаз
処.定лекте̄рпӣзлекте̄рпе̄злекте̄рпевазлекте̄рповаз

体言の曲用

#TSE.規則曲用

#TKN.名詞か形容詞として

体言が名詞か形容詞として用いられるときは、 連性, 類, 格, 定性に従って、 接尾辞を語幹に加えることによって曲用する。

連性
連用 (∅), 連体 (/-ва)
赤類 (∅/), 青類 ()
主格 (∅), 対格 (), 与格 (), 奪格 (-ӟам), 具格 (-ўат), 処格 ()
定性
定 (лө-), 不定 (∅)

定を表す лө- は、 語幹の前に付加される。 この ө は、 語幹の幹母音に一致し、 合成語では最も左側にある要素の幹母音に一致する。 連性, 類, 格を表す接尾辞は、 語幹の後ろに付加され、 以下の通りである。

赤.用青.用赤.体青.体
-ев-ов
-ав-ав
-еҫ-оҫ-еваҫ-оваҫ
-еӟам-оӟам-еваӟам-оваӟам
-еўат-оўат-еваўат-оваўат
-ей-ой-евай-овай

参考として、 G 型での曲用パラダイムの全容と、 それを語根 √к-т-п に適用した形を列挙する。 連続軽音節を回避するために消失する母音にはストローク符号を付けた。

G 型
赤.用青.用赤.体青.体
主.不定кө̄тапкө̄та̷покө̄та̷певкө̄та̷пов
対.不定кө̄та̷пакө̄та̷пакө̄та̷павкө̄та̷пав
与.不定кө̄та̷пеҫкө̄та̷поҫкө̄та̷певаҫкө̄та̷поваҫ
奪.不定кө̄та̷пеӟамкө̄та̷поӟамкө̄та̷пева̷ӟамкө̄та̷пова̷ӟам
具.不定кө̄та̷пеўаткө̄та̷поўаткө̄та̷пева̷ўаткө̄та̷пова̷ўат
処.不定кө̄та̷пейкө̄та̷пойкө̄та̷певайкө̄та̷повай
主.定лөкө̄таплөкө̄та̷полөкө̄та̷певлөкө̄та̷пов
対.定лөкө̄та̷палөкө̄та̷палөкө̄та̷павлөкө̄та̷пав
与.定лөкө̄та̷пеҫлөкө̄та̷поҫлөкө̄та̷певаҫлөкө̄та̷поваҫ
奪.定лөкө̄та̷пеӟамлөкө̄та̷поӟамлөкө̄та̷пева̷ӟамлөкө̄та̷пова̷ӟам
具.定лөкө̄та̷пеўатлөкө̄та̷поўатлөкө̄та̷пева̷ўатлөкө̄та̷пова̷ўат
処.定лөкө̄та̷пейлөкө̄та̷пойлөкө̄та̷певайлөкө̄та̷повай
ке̄тап (√к-т-п, G-е 型)
赤.用青.用赤.体青.体
主.不定ке̄тапке̄тпоке̄тпевке̄тпов
対.不定ке̄тпаке̄тпаке̄тпавке̄тпав
与.不定ке̄тпеске̄тпоске̄тпеваске̄тповас
奪.不定ке̄тпезамке̄тпозамке̄тпевзамке̄тповзам
具.不定ке̄тпо̄тке̄тпӯтке̄тпеватке̄тповат
処.不定ке̄тпике̄тпеке̄тпевеке̄тпове
主.定леке̄таплеке̄тполеке̄тпевлеке̄тпов
対.定леке̄тпалеке̄тпалеке̄тпавлеке̄тпав
与.定леке̄тпеслеке̄тпослеке̄тпеваслеке̄тповас
奪.定леке̄тпезамлеке̄тпозамлеке̄тпевзамлеке̄тповзам
具.定леке̄тпо̄тлеке̄тпӯтлеке̄тпеватлеке̄тповат
処.定леке̄тпилеке̄тпелеке̄тпевелеке̄тпове

#TSO.副詞として

形容詞的な意味のある体言は副詞の形ももち、 語幹の末尾に -о̄ もしくは -о̄ўак を付加した形をとる。 これらはそれぞれ 「単純型 (simple form)」 と 「K 型 (K-form)」 と呼ばれる。 どちらの形になるかは単語によるが、 動作の様態を表す副詞は単純型をとり、 意味的に節全体に係る副詞は K 型をとることが多い。

#TKK.短曲用

一部の体言の機能語では、 以下のように格を表す語尾として通常よりも短いものが使用される。 2 子音から成る語尾は 2 つ目の子音だけになり、 連用対格形では例外的な が見られる。 この曲用を 「短曲用 (short declension)」 という。

赤.用青.用赤.体青.体
-ев-ов
-ех-ох-ав-ав
-еҫ-оҫ-еваҫ-оваҫ
-ем-ом-евам-овам
-ет-от-еват-оват
-ей-ой-евай-овай

#TSI.前置曲用

体言の機能語には、 形容詞として使われたときに被修飾語に前置されるものがある。 このとき、 被修飾語が赤類か青類かに応じてそれぞれ -е̄-о̄ の語尾をとった形になることが多く、 この形では連性や格などによる変化を失う。 この曲用を 「前置曲用 (prepositional declension)」 という。

基本形

単語の活用形のうち、 最も代表的なものを 「基本形 (lemma)」 と呼ぶ。 基本形は、 特定の活用形ではなく単語そのものに言及するときに用いられる。 また、 基本形は、 辞書の見出し語としても用いられる。

用言は、 能動態現在時制三人称定赤類の形を基本形とする。

体言は、 連用赤類主格不定の形を基本形とする。 ただし、 形容詞用法がなく名詞として青類で使われる体言は、 赤類の形で現れることがないため、 連用青類主格不定の形が基本形となる。