#TDP.相関
節の従属構造は、 主節と従属節のそれぞれに互いに対応する単語が置かれて、 それらが意味的に関係をもつことによって作られる。 この 2 つの単語の関係のことを 「相関 (correlation)」 と呼ぶ。 また、 相関に関わる単語のうち、 主節側に置かれているものを 「相関詞 (correlative)」 と呼び、 従属節側に置かれているものを 「関係詞 (relative)」 と呼ぶ。
相関は、 節の従属構造が作られる唯一の方法である。 他の言語において関係節や接続詞節として扱わる構造は、 フェンナ語においては全て相関によって説明できる。
相関詞として働く単語は相関の種類に応じていくつかあるが、 関係詞は у と ук のみである。
#TDB.相関の基本的用法
#TDC.кѐ–у 相関
相関の最も典型的な例が кѐ と у によるものである。 кѐ は主節側に置かれる相関詞として、 у は従属節側に置かれる関係詞として働く。 以下の例文を用いて、 この相関の作られ方を示す。
- Ажжо̀к идду̂ кату̂шла кѐ леди̂ссака дасу̂кно ух.
- 彼が書いた文字を私は読めない。
1 は、 以下の 2 つの文が相関によって 1 つの節に繋ぎ合わされたものだと分析できる。
- Ажжо̀к идду̂ кату̂шла леди̂ссака.
- 私はその文字を読めない。
- Дасу̂кно ех.
- 彼はそれを書いた。
この 2 つの文において、 3 にある ех は 2 にある леди̂ссака を指していると解釈できる。 この леди̂ссака と ех が同じものを表しているという関係によって、 2 と 3 が 1 つの文にまとめられたものが 1 である。 ここでは、 この関係を明示するものとして、 もともと 2 にあった леди̂ссака には相関詞 кѐ が前置され、 3 にあった ех は関係詞 у (の連用対格形) に置き換えられている。
この例が示すように、 кѐ–у 相関によって 2 つの文が繋がれる場合、 両者で同じものを表している名詞のうち、 主節となる方にあるものには кѐ が置かれ、 従属節となる方にあるものは у に置き換えられる。 このとき、 кѐ はそれが係る名詞と類が一致し、 у はそれが置き換える名詞と連性や類や格が一致する。 なお、 従属節に含まれる動詞は従属節の開始を示すマーカーとしても機能するため、 従属節では話題の節頭遷移は起こらない。
#TDQ.相関代詞
主節において相関している名詞が代詞である場合は、 〈кѐ + 代詞〉 という形の代わりに、 次に示す専用の系列の代詞が使われることが多い。 これらは 「相関代詞 (correlative proform)」 と呼ばれる。
| 人 | ке̂с |
|---|---|
| 物 | ко̂с |
| 場所 | ке̂дде |
| 時間 | ко̂ддо |
| 様態 | ко̂чче |
相関代詞の具体的な用法を、 以下の例文を用いて説明する。
- Езонну̂жо ко̂са семфи̂кан цос ух.
- 彼女が私に頼んだことを私は忘れている。
この 1 は、 以下の 2 つの文が相関により繋げられたものである。
- Езонну̂жо то̂са.
- 私はそのことを忘れている。
- Семфи̂кан цос ох.
- 彼女は私にそれを頼んだ。
3 にある ох は 2 にある то̂са を指している。 この関係によって 2 つの文を кѐ–у 相関で 1 つの文にまとめようとすると、 2 の то̂са が кѐ による修飾を受けて ко̀ то̂са となるはずだが、 この形の代わりに相関代詞 ко̂с が使われていることに注目せよ。 3 にある ох は通常通り ух に置き換えられている。
この例のように、 кѐ–у 相関において主節で кѐ の修飾を受ける名詞が代詞だった場合は、 それに対応する相関代詞が使われる。
#TDX.ко̂со–ук 相関
これ素で使うことあるのかな。
#TDJ.接続詞的な相関
ко̂со–ук の相関において ко̂со と ук が連続して置かれているとき、 この ко̂со ук は接続詞的な役割をもつまとまった熟語と見なされることが多い。 そのため、 理論的には ко̂со と ук の間に節の区切りがあるものの、 ко̂со ук というまとまりの直前にコンマが置かれることが多く、 話す際もこの位置にポーズが置かれることが多い。 さらに、 このとき ко̂со と ук が縮約された ку̂к が使われるのが普通である。 また、 ку̂к が前置詞の直後に置かれた場合は、 その前置詞と一体となる。 詳細は #TVN を参照せよ。
- Икту̂ш ки̂тташа лову̂де, соме̂ок дару̂з лехди̂де.
- 明日雨が降ったら、 家で本を読むつもりだ。
さらに、 この ку̂к 以下の従属節が、 主節より前に置かれることもある。 これは、 ку̂к 以下が節頭遷移した形と見なすことができる。 そのため、 残った主節でさらなる節頭遷移は起こることはあまりない。
- Соме̂ок дару̂з лехди̂де, икту̂ш ки̂тташа лову̂де.
- 明日雨が降ったら、 家で本を読むつもりだ。
ко̂ддо–у の相関においても、 両者が処格形で現れていて 「~するとき」 の意味になっている場合は、 ко̂ддо у というまとまりが接続詞的な熟語と見なされることが多い。 この場合も、 ко̂ддо と у が縮約された ко̂ддео が使われるのが普通である。 また、 前述の場合と同様に、 ко̂ддео 以下の従属節が節頭遷移することもある。 ко̂ддео の形態については #TVM を参照せよ。
- Цо̀ лехе̂ко заҕи̂нно, ко̂ддео ибевсами̂ман лели̂кассе.
- 私が夜に帰ったとき、 私の父は寝ていた。
- Ко̂ддео ибевсами̂ман лели̂кассе, заҕи̂нно цо̀ лехе̂ко.
- 私が夜に帰ったとき、 私の父は寝ていた。
#TXK.кѐ–у 相関と限定
кѐ–у 相関によって節が名詞を修飾する形を作ることができるが、 このとき、 節の内容は名詞が表す範囲を意味的に限定する。
- Евезле̂ кѐ ки̂тташа би̂всевот ебоцни̂но ух лу̂ффанезам.
- 私は友達から借りた本を 2 冊持っている。
1 では、 ки̂тташа би̂всевот 「2 冊の本」 の指す範囲が ебоцни̂но ух лу̂ффанезам 「友達から借りた」 という範囲に限定されている。 すなわち、 「友達から借りた」 を満たす 「2 冊の本」 を持っていることが述べられているに過ぎない。 この 1 はそれ以外の本については何も述べていないため、 これを発した人がそれ以外の本を他にも持っている可能性はある。
名詞の後に相関代詞による節が同格で置かれた場合、 相関代詞以下はその名詞の補足説明をしていると捉えられ、 意味を限定する役割はもたない。
- Евезле̂ ки̂тташа би̂всевот, ко̂са ебоцни̂но ух лу̂ффанезам.
- 私は本を 2 冊持っていて、 それは友達から借りたものだ。
2 の ко̂са 以下は ки̂тташа би̂всевот を補足する挿入句だと解釈されるので、 2 の主な内容は евезле̂ ки̂тташа би̂всевот 「2 冊の本を持っている」 までである。 そのため、 この 「2 冊の本を持っている」 という内容がまず成立するので、 これを発した人は本を 2 冊だけ持っていることになる。
#TQA.相関詞や関係詞の省略
ここに書く。