日記 (H2719)
H2686 で形容詞と副詞の意味関係の分類が整理されて、 この問題は一応解決したことになっていますが、 IV 型についてはちょっとまだモヤモヤが残っています。 このモヤモヤについて、 ちょっと考察してみます。
例として、 IV 型に分類されている dalaz を挙げます。 これは副詞として 「元気に」 を意味します。 したがって、 動詞としては 「元気に行う」 のような意味になり、 以下の 2 つの文はほぼ同じ意味になります。
- rahitac odalaz a ces vo naflat.
- 彼は公園で元気に遊んでいる。
- dalazac a ces e kin rahitos a’s vo naflat.
- 彼は公園で遊ぶことを元気にやっている。
これは問題ありません。 では、 rahas はどうでしょうか。 この単語を副詞として 「楽しげに」 という意味で使いたいとすると、 動作の様子というより動作に関わった人の感情を表しているので、 これは IV 型とするのが妥当そうです。 すると、 動詞としては 「楽しげに行う」 という意味になります。 しかし、 もともと rahas は感情動詞なので、 動詞としては 「楽しませる」 の意味で使いたいという気持ちがあります。 これは矛盾です。
実は H2434 で 「A4 型」 という名前で提案されている意味関係は、 まさにこのような関係です。 つまり、 以下の 2 つの文がほぼ同じ意味となります。
- rahitac orahas a ces vo naflat.
- 彼は公園で楽しげに遊んでいる。
- rahitac a ces vo naflat, lo rahasat e ces.
- 彼は公園で遊んでおり、 彼は楽しんでいる。
なぜ一度提案されたのに現行の採用案には含まれていないのかは、 正確には正直忘れました… (たぶん H2680 の放送とか見ればちゃんと分かる)。 確か、 従来の A4 型は 「落ち着いて」 のような形容詞として性格を表す単語のために提案されたもので、 現行の案では性格を表すには別の単語を使うことになったため、 不要だと思われたからだと思います。 しかし、 ここで挙げた rahas の 「楽しげに」 というのは、 そのときの状態であって性格を表すわけではありません。 感情動詞が形容詞用法をとらないことは、 昔から考察されていて確定している内容ですよね。
したがって、 rahas のような例があることを考えると、 この形の関係はやはり必要なのではないかと思います。 ということで、 この関係性を 「V 型」 として新設 (というか復活) します。 V 型がいらないと感じたら V 型に分類される単語を 0 個だと思えば良いので、 これは確定ということにします。
V 型にすると良さそうな単語の例は、 まず上に挙げた rahas のような感情動詞です。 また、 halfet もこれに当てはまります。 この単語は、 動詞として 「はためかせる」 の意味で、 副詞としては 「ヒラヒラと」 の意味ですが、 はためかせられた状態で何かを行うのが 「ヒラヒラと」 なわけなので、 この V 型にちょうど相当します。 あとは haves でしょうか。 これは、 動詞として 「自由にさせる」、 副詞として 「自由な」 です。
V 型を含めて既存の単語を分類したものを Gist に置いておきます。 辞書の編集とシャレイア語論のページの書き換えがまだやっていないので、 近いうちにやります。 形容詞と副詞の意味関係についてはもうこれで終わりにしたいな…。
追記 (H2719)
新しい分類に合うように、 辞書に載せてある意味の修正 (特に kezel と yesac) と表示順の変更を行いました。 表示順の変更とは何かですが、 III 型と IV 型は副詞の意味が主体となるので副詞を一番上にし、 V 型は動詞の意味が主体となるので動詞を一番上にしました。 変更の詳細は、 該当のコミット 3563246 を参照してください。