小詞

#TDF.概要

並列されている要素の意味的な関係性を示す単語を 「小詞 (particle)」 と呼ぶ。 要素の並列は多くの場合で連結詞によって表されるため、 小詞はこの連結詞を修飾する要素だとも考えられる。 また、 文の連続もある種の並列であり、 小詞がこのような連続する文の関係性を示すこともあるが、 この場合の小詞は文と文の間に仮想的に存在する空要素を修飾していると分析することもできる。

小詞が連結詞の直後に置かれた場合、 連結詞と小詞の間にはスペースが入れられずに綴り字上 1 語のように書かれる。

小詞が節の関係性を示す場合と語句の関係性を示す場合とでその位置は異なるため、 それぞれの場合について続くサブセクションで詳細に述べる。

#TFF.節の関係性の明示

小詞は、 直前の節との意味的な関係性を示す役割をもつ。 このとき、 小詞は最初のアクセント群の直後に置かれる。 この位置は、 最初の単語の直後 (すなわち 2 単語目) であるとは限らず、 また修飾関係に割り込むような位置になる可能性もある点に注意せよ。

Иҕдо̂лан до̂ска. Ажадде̂сно ех зам цо̀ и̂ффано.
私はペンを買った。 というのも、 私の友達がそれを必要としていたからだ。

1 では、 人称代詞の短形である е が前接語であるため、 この節の最初のアクセント群は ажадде̂сан ех までであり、 そのため小詞 зам がその後に置かれている。 2 では、 最初のアクセント群は * だが、 その後に修飾語が続いているため、 結果的に小詞 са がその修飾関係に割り込むように置かれている。

小詞は、 1 つの文中で連結詞で繋げられている 2 つの節の関係性を表すことも、 連続する 2 つの独立した文の関係性を表すこともある。 小詞を含む節の前で文が途切れていない方が節の繋がりが強いと分析することもできるが、 ほとんどの場合で単にスタイルの違いに過ぎずニュアンスの違いはない。

Зе̂хно леӈге̂таббес, и те̂кки са талфе̂гно.
彼は公園に行き、 そしてそこで散歩をした。
Зе̂хно леӈге̂таббес. Те̂кки са талфе̂гно.
彼は公園に行った。 そしてそこで散歩をした。

3 は 1 つの文であるため、 小詞は 2 つの節の関係性を示している。 一方、 4 では小詞の前で一度文が切れているため、 小詞は 2 つの文の関係性を示している。 下に附した日本語訳はこれらの違いを反映させたものだが、 実際にはそれほど大きなニュアンスの違いはない。

小詞が節末に置かれることはない。 そのため、 連続する 2 つの節のうち後半の節が 1 つのアクセント群だけから成っていて、 小詞がこれら 2 つの節の関係性を示す場合は、 その小詞は節の最初に置かれる。 この際、 節が連結詞で繋がれている場合は、 小詞はその連結詞の直後に置かれる。

Цу̂тан ке̂тташа се̂хна, иса ҕадо̂лан ех.
彼女はおもしろそうな本を手に取って、 それを買った。
Цу̂тан ке̂тташа се̂хна. Са ҕадо̂лан ех.
彼女はおもしろそうな本を手に取った。 そしてそれを買った。

56са が置かれている節には ҕадо̂лан ех という 1 つのアクセント群しか存在しない。 そのため、 通常通り са を最初のアクセント群の直後に置こうとすると са が節の末尾に位置することになるので、 それを避けるために са が例外的に節頭に置かれている。

口語においては、 節の形によらず 〈連結詞+小詞〉 の形が好まれ、 小詞が節の最初のアクセント群の直後に置かれることは少ない。

Зе̂хно леӈге̂таббес, иса те̂кки талфе̂гно.
彼は公園に行き、 そしてそこで散歩をした。

#TFV.語句の関係性の明示

小詞は、 語句が連結詞で結ばれている箇所において、 その連結詞の直後に挿入されることもある。

Ѝ леседе̂м е̂к гоге̂на иӈа хе̂ват лово̂девзам.
このレストランは素晴らしいが家から遠い。