日記 (2023 年 9 月 14 日)

今日は、 1w 弱動詞の活用を見ていきます。 弱動詞の活用も大詰めです。

1w 弱動詞は、 それが性質や状態を表すのか行為を表すのかで活用のパターンが変わります。 そこで、 性質や状態を表す動詞を 「状態動詞 (stative verb)」 と呼び、 行為を表す動詞を 「動作動詞 (active verb)」 と呼んで、 両者を区別することにします。 なお、 1w 弱状態動詞は常に i クラスで、 1w 弱動作動詞は常に a/i クラスなので、 意味だけでなく形態でも両者を区別することができます。 1w 弱状態動詞の語根の代表例には √w-r-q 「黄色くなる」 を使い、 1w 弱動作動詞の語根の代表例には √w-l-d 「産む」 を使います。

初めに G 型の活用についてです。 1w 弱状態動詞の G 型の活用は、 定形活用では 1e 弱動詞と同じになり、 非定形活用では強動詞と同じになります。 ただし、 G 型完了相でのみ、 ae に変化しない 1a 弱動詞と同じ活用をすることがあります。

warāqum (G-1w 型)
三.単irriq
二.男.単terriq
二.女.単terriqī
一.単erriq
三.男.複irriqū
三.女.複irriqā
二.複terriqā
一.複nirriq
warāqum (G-1w 型)
三.単īteriq/ītariq
二.男.単tēteriq/tātariq
二.女.単tēterqī/tātarqī
一.単ēteriq/ātariq
三.男.複īterqū/ītarqū
三.女.複īterqā/ītarqā
二.複tēterqā/tātarqā
一.複nīteriq/nītariq
warāqum (G-1w 型)
三.単īriq
二.男.単tēriq
二.女.単tēriqī
一.単āriq
三.男.複īriqū
三.女.複īriqā
二.複tēriqā
一.複nīriq
warāqum (G-1w 型)
動形
男.単.主warāqumwāriqumwarqum

一方で、 1w 弱動作動詞の G 型の活用は、 ちょっと特殊な形になります。 まず G 型継続相の形は、 基本的に 1a 弱動詞と同様になりますが、 w の影響で活用接頭辞の i-/ta-/a-/ni-u-/tu-/u-/nu- に変わります。

walādum (G-1w 型)
三.単ullad
二.男.単tullad
二.女.単tulladī
一.単ullad
三.男.複ulladū
三.女.複ulladā
二.複tulladā
一.複nullad

G 型完了相の形は、 完了相で現れる -ta-t が二重子音になり、 1n 弱動詞のような見た目になります。 継続相のときと違い、 活用接頭辞は i-/ta-/a-/ni- のままです。

walādum (G-1w 型)
三.単ittalad
二.男.単tattalad
二.女.単tattaldī
一.単attalad
三.男.複ittaldū
三.女.複ittaldā
二.複tattaldā
一.複nittalad

G 型完結相の形は、 1a 弱動詞と同様でありつつも、 活用接頭辞が u-/tu-/u-/nu- になる点と、 活用接頭辞の母音は短母音のままである点が異なります。

walādum (G-1w 型)
三.単ulid
二.男.単tulid
二.女.単tuldī
一.単ulid
三.男.複uldū
三.女.複uldā
二.複tuldā
一.複nulid

G 型の非定形活用は、 強動詞と同じです。

walādum (G-1w 型)
動形
男.単.主walādumwālidumwaldum

続いて D 型の活用を見ていきましょう。 D 型の活用は簡単で、 ほとんど強動詞と同じ形になり、 完了相でだけ -uw--ū- に変わります。 なお、 ここからは状態動詞と動作動詞の区別がなくなります。

wurruqum (D-1w 型)
三.単uwarraq
二.男.単tuwarraq
二.女.単tuwarraqī
一.単uwarraq
三.男.複uwarrraqū
三.女.複tuwarraqā
二.複tuwarraqā
一.複nuwarraq
wurruqum (D-1w 型)
三.単ūtarriq
二.男.単tūtarriq
二.女.単tūtarriqī
一.単ūtarriq
三.男.複ūtarriqū
三.女.複ūtarriqā
二.複tūtarriqā
一.複nūtarriq
wurruqum (D-1w 型)
三.単uwarriq
二.男.単tuwarriq
二.女.単tuwarriqī
一.単uwarriq
三.男.複uwarriqū
三.女.複uwarriqā
二.複tuwarriqā
一.複nuwarriq
wurruqum (D-1w 型)
動形
男.単.主wurruqummuwarriqumwurruqum

続いて Š 型の活用ですが、 これは 1a 弱動詞か 1e 弱動詞と同じになります。 どちらになるかは単語によります。 活用表は省略します。

最後に N 型の活用ですが、 これは強動詞と同じです。 ただし、 そもそも 1w 弱動詞の N 型はあまり確認されておらず、 あったとしても継続相と完結相の形しかないようです。 規則通りなので、 ここでも活用表は省略します。

ということで、 以上が 1w 弱動詞の活用でした。 まとめると以下のようになります。

状態動詞 G 型
定形活用は 1e 弱動詞, 不定形活用は強動詞
行為動詞 G 型
定形活用は ullad/ittalad/ulid, 不定形活用は強動詞
D 型
強動詞 (完了相でのみ -uw--ū-)
Š 型
1a 弱動詞 or 1e 弱動詞
N 型
強動詞

ややこしいのは G 型だけで、 他はすでにやった活用とほぼ同じですね。 基本形の表も置いておきましょう。

w-r-q (1w 弱語根)
継続相完了相完結相不定詞分詞動形容詞
G 型irriqīteriq/ītariqīriqwarāqumwāriqumwarqum
D 型uwarraqūtarriquwarriqwurruqummuwarriqumwurruqum
Š 型ušarraquštāriqušāriqšūruqummušāriqumšūruqum
N 型iwwarraqiwwariq
w-l-d (1w 弱語根)
継続相完了相完結相不定詞分詞動形容詞
G 型ulladittaladulidwarāqumwāriqumwarqum
D 型uwalladūtalliduwallidwulludummuwallidumwulludum
Š 型ušalladuštālidušālidšūludummušālidumšūludum
N 型iwwalladiwwalid