日記 (2020 年 1 月 21 日)

がんばる。

καὶ εἶπεν Θεός· ἐξαγαγέτω τὰ ὕδατα ἑρπετὰ ψῡχῶν ζωσῶν καὶ πετεινὰ πετόμενα ἐπὶ τῆς γῆς κατὰ τὸ στερέωμα τοῦ οὐρανοῦ. καὶ ἐγένετο οὕτως.
そして、 神は言った。 「水は、 生きている魂による爬虫類と天の大空に沿って下にある地の上で飛ぶ鳥を引き出せ。」 と。 すると、 そうなった。
καὶκαίそして εἶπενλέγω言う|直.能.ア2.三単 冠|男.単.主 ΘεόςΘεός|単.主· ἐξαγαγέτωἐξάγω引き出す|命.能.ア2.三単 τὰ冠|中.複.主 ὕδαταὕδωρ|複.主 ἑρπετὰἑρπετόν爬虫類|複.対 ψῡχῶνψῡχή|複.属 ζωσῶνζάω生きる|分.能.現.女.複.属 καὶκαί πετεινὰπετεινόν|複.対 πετόμεναπέτομαι飛ぶ|分.中.現.中.複.対 ἐπὶἐπί~の上で τῆς冠|女.単.属 γῆςγῆ|単.属 κατὰκατά~に沿って下へ τὸ冠|中.単.対 στερέωμαστερεώμα大空|単.対 τοῦ冠|男.単.属 οὐρανοῦοὐρανός|単.属. καὶκαίそして ἐγένετογίγνομαιなる|直.中.ア.三単 οὕτωςοὕτωςそのように.

ἐξαγαγέτω < ἐξάγω 「引き出す」。 ἐκ- 「外に」 と ἄγω 「導く」 の合成語です。

ἑρπετὰ < ἑρπετόν 「爬虫類, 這って動く動物」。 ἕρπω 「ゆっくり歩く, 這う」 の動形容詞 ἑρπετός の中性形が名詞として特定の意味を獲得したものです。 同じく ἕρπω が由来の単語には ἕρπης 「疱疹, ヘルペス」 があり、 そのまま英語の herpes になっています。

ψῡχῶν < ψῡχή 「生命, 魂, 精神」。 英語の psychic や psychology の psych- の直接の語源です。

ζωσῶν < ζάω 「生きる」。 見ての通り母音融合動詞なのですがちょっと特殊で、 普通に母音融合させた後に が出てきたらそれは η に変わります [L:§114]。 したがって、 例えば直接法能動相現在時制二人称単数形は ζῇς です。 このタイプの動詞には、 他に πεινάω 「空腹になる」 と διψάω 「喉が渇く」 などがあります。 英語版 Wiktionary では、 ここで述べた規則が適用されておらず、 この 3 単語の活用表が間違っています。

πετόμενα < πέτομαι 「飛ぶ」。 直前に出てきた πετεινόν もこの単語由来です。 また、 πέτομαι と語源的に関連する単語として πτερόν 「翼」 があり、 これと - (否定) と ὀδούς 「歯」 との合成によって恐竜の pteranodon になっています。 プテラノドン、 翼があって歯がないんですね。 ちなみに、 この辺りの単語は英語の feather と同根のようです。

文の中央くらいで出てくる ἑρπετὰ ψῡχῶν ζωσῶν の中の特に ψῡχῶν の属格形の解釈に悩みました。 奪格には材料を表す用法があるので、 この用法だとするのが良いのかな [L:§240]。

καὶ ἐποίησεν Θεὸς τὰ κήτη τὰ μεγάλα καὶ πᾶσαν ψῡχὴν ζῴων ἑρπετῶν, ἐξήγαγε τὰ ὕδατα κατὰ γένη αὐτῶν, καὶ πᾶν πετεινὸν πτερωτὸν κατὰ γένος. καὶ εἶδεν Θεός, ὅτι καλά.
そして、 神は大きな鯨と爬虫類の動物の魂を作り、 それらは水がその種類に従って引き出したものであり、 また種類に従って全ての翼のある鳥を作った。 そして、 神はそれらを良いと見た。
καὶκαίそして ἐποίησενποιέω作る|直.能.ア1.三単 冠|男.単.主 ΘεὸςΘεός|単.主 τὰ冠|中.複.対 κήτηκῆτος|複.対 τὰ冠|中.複.対 μεγάλαμεγάς大きい|中.複.対 καὶκαί πᾶσανπᾶς全ての|女.単.対 ψῡχὴνψῡχή|単.対 ζῴωνζῷον動物|複.属 ἑρπετῶνἑρπετόν爬虫類|複.属, ὅς関|中.複.対 ἐξήγαγεἐξάγω引き出す|直.能.ア2.三単 τὰ関|中.複.主 ὕδαταὕδωρ|複.主 κατὰκατά~に従って γένηγένος種類|複.対 αὐτῶναὐτόςそれ|中.複.属, καὶκαί πᾶνπᾶς全ての|中.単.対 πετεινὸνπετεινόν|単.対 πτερωτὸνπτερωτός翼のある|中.単.対 κατὰκατά~に従って γένηγένος種類|複.対. καὶκαίそして εἶδενὁράω見る|直.能.ア2.三単 冠|男.単.主 ΘεὸςΘεός|単.主, ὅτιὅτι~ということを καλάκαλός良い|中.複.主.

κήτη < κῆτος 「鯨」。 48 星座の 1 つである Cetus 「くじら座」 の名前は、 この単語がラテン語に借用されて英語に入ったのが由来です。

πᾶσαν < πᾶς 「全ての」。 不規則変化形容詞ですが、 男性形と中性形は全て -ντ 幹第 3 変化に準じ、 女性形は全て第 2 変化に準じるだけで、 μεγάς のように活用体系が混ざることはありません。 ちなみに、 pandemic や panacea の pan- の直接の語源です。 また、 πᾶςὁράω 「見る」 と -μα (名詞化の接尾辞) の合成語は panorama です。

πᾶς
単.主πᾶςπᾶσαπᾶν
単.属παντόςπάσηςπαντός
単.与παντίπάσῃπαντί
単.対πάνταπᾶσανπᾶν
単.呼πᾶςπᾶσαπᾶν
複.主πάντεςπᾶσαιπάντα
複.属πάντωνπασῶνπάντων
複.与πᾶσιπάσαιςπᾶσι
複.対πάνταςπάσᾱςπάντα
複.呼πάντεςπᾶσαπάντα

ζῴων < ζῷον 「動物」。 zoology などの zoo- の語源です。 びっくりするのが、 印欧祖語まで遡ると βίος 「生命」 と同根で、 これは biology の bio- の語源になっているので、 zoo- と bio- が同根ということになります。

文の真ん中に挟まっている から始まる関係代名詞節ですが、 まず関係代名詞は前に出てきた 「鯨」 と 「爬虫類」 を受けています。 中性名詞は主格形と対格形が同じなせいで、 この関係代名詞節の解釈として、 「鯨や爬虫類が水を引き出した」 と 「鯨や爬虫類を水が引き出した」 の 2 通りが考えられます。 前の節を考えると後者が妥当だと思うので、 ここでは後者の解釈をしました。