日記 (新 4 年 6 月 25 日, H1285)

シャレイア語の動詞型不定詞の形容詞用法ですが、 動詞用法と具体的に関係性があります。 主格型か対格型かで変わるのですが、 ここでは主格型について考えていきます。

動詞型不定詞 S があったとします。 S が形容詞用法として名詞 Z を修飾しているとき、 すなわち Z aS の形になっているとき、 これは Z Sot a, Z Soc a のいずれかと表す状態が (ニュアンスの差異を除いて) 同じになります。

さて、 ついさっき気になったのは fêc という動詞型不定詞です。 動詞用法は 「近づく」 の意味で、 形容詞用法は 「近い」 の意味になります。 上に述べた規則の S の部分に fêc を代入して、 より具体的に考察してみましょう。

まずは Z として zis を用いてみます。 さらに、 よりイメージが湧きやすいように修飾句を加えておきます。 上の規則によれば、 zis afêc ica sodzis fêcat a ca sod が状態として同じということになります。 前者は 「家の近くにいる人」 を表し、 後者は 「家に近づいてしまっている人」 を表しますから、 最終的な状態は確かに同じことであり、 規則と合致します。

次に、 Z として vesax を代入します。 規則では vesax afêc ica sodvesax fêcat a ca sod が状態として同じになりますが、 後者の方の文が若干奇妙です。 「学校が近づく」 というよりは 「人間が学校を近づかせる」 の方が適切に感じます。 したがって、 vesax fêcat a ca sod というより vesax fêcad li ca sod の方が良いように気がします。

これにより、 一般的な話に戻ると、 Z aS と状態が同じなのは Z Sot a, Z Sod li, Z Soc a, Z Soq li の 4 つのうちのいずれか、 と範囲を広げた方が良いように感じます。 すると、 動詞用法を用いている 4 つの表現のうち、 Z の格が ali の 2 パターンあることに気づきます。 a は自動詞の主語を表し、 li は他動詞の相手を表します。 この 2 つを統一的に扱うのって、 なんか、 能格言語っぽくないですか? 絶対格を助詞 A で表し、 能格を助詞 E で表すことにすれば、 上の 4 つの表現の ali はどちらも A で表されることになり、 統一感が出ます。

シャレイア語が能格言語になる日も近いでしょうか?

追記 (新 11 年 10 月 20 日, H3969)

追記が遅れましたが、 7 代になって自動詞と他動詞 (現在の用語では通常態と補助態) における格の対応が能格的になりました。