日記 (H3323)

「適切な」 の意味の sàyat という単語があるんですが、 何をするのに適切なのかを ica 句で表現できるようになっています。 では、 これを使って 「それを着て運動するのに適切な服」 を表現するにはどうすれば良いでしょうか。 solak asàyat ica’n までは良くて、 この後に 「それを着て運動する」 を続けないといけないわけですが、 ここに含まれている 「それ」 は 「それを着て運動するのに適切な」 という語句の被修飾語である 「服」 を指しています。 このような 「それ」 に cit を使って良いのでしょうか?

この状況は、 限定節に似ています。 例えば、 「その父親が医者である少年」 という表現における 「その」 は、 「その父親が医者である」 という限定節の被修飾語である 「少年」 を指します。 これはシャレイア語ではどのように表現されることになっているかというと、 tiqat salat a qâz i e zisrasál のように対応する箇所 (qâz i の直後) を空欄にします。 ということは、 「それを着て運動するのに適切な服」 の 「それ」 も空欄で表して、 solak asàyat ica’n zédicos fi a vas (fi の直後が空欄) とするという案が考えられます。 しかし、 限定節において被修飾語がもともとあった箇所を空欄にするというのは限定構文特有の文法なので、 普通の kin 節の中で空欄にするというのは今のところ許されていませんし、 そもそも気持ち悪いです。

ここで思い出すわけです。 S 代 6 期になるときに、 限定節における空欄は、 もともと cok という特別な単語が置かれていたのが省略されることによって生じるものだと解釈を変えたことを。 この cok、 「それを着て運動するのに適切な服」 の 「それ」 を表すのに適任なのでは? つまり、 「それを着て運動するのに適切な服」 は solak asàyat ica’n zédicos fi cok a vas とすれば良いのでは?

さらにこの案ですが、 H1525H1623 で議論されている問題への解決案にもなる気がしています。 現状、 「難しい」 の意味の dozeg は被修飾語にコト名詞をとることになっているので、 「シャレイア語を学ぶことは難しい」 のように表現する必要があります。

salat e adozeg a kin zèvofos a vas e qilxaléh.
シャレイア語を学ぶのは難しい。

これを、 特別な助詞 (ここでは仮に O とする) を追加して、 次のように書き換えられるようにするというのはどうでしょうか。

salat a qilxaléh e adozeg iO’n zèvofos a vas e cok.

つまり、 もともと形容詞の被修飾語になっていた節の中にある名詞を新たな被修飾語とし、 その名詞を cok に変えた節を O を使って形容詞に係らせることで、 もとと同じ意味を出せるようにするということです。 こうすることで、 H1525H1623 で問題になっている salat a qilxaléh e adozeg という表現は、 上の文の iO 句が省略されたものと解釈できます。

さらに、 最初に挙げた 「それを着て運動するのに適切な服」 についても、 sàyat は形容詞としてコト名詞を修飾することにして、 solak asàyat iO’n zédicos fi cok a vas と表現するということにすれば、 一貫性もあります。 次の 2 文が同じ意味になるということです。

salat e asàyat a kin zédicos fi solak acik a vas.
salat a solak acik e asàyat iO’n zédicos fi cok a vas.

なんかすごい良さそうな案ですが、 どうでしょうか?

追記 (H3330)

H3330 に続きます。

追記 (H3706)

cok のさらなる用例が H3706 で言及されています。