数詞の基本的な用法

#TVQ.数量

数詞の最も典型的な用法は、 形容詞として単位名詞に係って数量を表すことである。 このとき、 数詞は例外的に被修飾語となる単位名詞に前置されて、 〈数詞+単位名詞〉 という形を作る。 語順以外は通常の形容詞と同様の振る舞いをし、 格や類などが単位名詞と一致する。

単位が個数である場合は、 単位名詞が省略されて数詞が単独で用いられる。 このとき、 数詞は常に赤類をとる。 このような数詞は、 修飾される名詞の個数を表すため、 特に 「基数詞 (cardinal)」 と呼ばれることがある。

〈数詞+単位名詞〉 という句全体は、 連体具格不定形をとることで、 名詞を修飾してその名詞の規模などの程度を表す。

Бо̀ теҕду̂л ни̂рахха ши̂тики̂ҕҕажевот агре̂мевот.
1.25 kg のミカンを買ってきてください。
Ленди̂чме кату̂шно ки̂тташа ӈу̂чоевот.
昨日彼は 7 冊の本を読んだ。
И̂ко 36овот гу̂жновот.
私は 42 歳だ。

1 では、 ши̂тики̂ҕҕажевот агре̂мевот の部分が 〈数詞+単位名詞〉 の形をとって 「1.25 kg の」 を意味している。 これが連体具格不定形をとって ни̂рахха に係ることで、 全体で 「1.25 kg のミカン」 という表現を作っている。 2 では、 ӈу̂чоевот の部分が 〈数詞+単位名詞〉 に相当するが、 ここでは単位名詞が省略されているので 「7 個の」 を表している。 これが連体具格不定形をとって ки̂тташа に係っているので、 全体では 「7 冊の本」 という表現を作っている。 3 では、 36овот гу̂жновот の部分が 〈数詞+単位名詞〉 の形で 「42 年の」 を意味している。 ここではこれが и̂ко の補語の位置に置かれており、 「42 年分の規模である」 すなわち 「42 歳である」 という意味になっている。 これは年齢を表す定型表現である。

〈数詞+単位名詞〉 の連体具格不定形は、 形容詞を修飾してその形容詞の程度を明示する役割を果たすこともある。 〈数詞+単位名詞〉 が名詞を修飾する前述の形は、 この形容詞を修飾する形から形容詞が省略されたものだと解釈することもできる。

〈数詞+単位名詞〉 が連用具格不定形をとると、 動詞を修飾して動作の規模などを表す。 この場合も、 単位が個数であれば単位名詞が省略される。

Ицци̂вван 400от ме̂трот.
私は 600 m 走った。
Бази̂но лоддесу̂ска ту̂срот.
彼女は従業員を 3 人増やした。

#TVG.特定の数量をもつもの

数量を表す 〈数詞+単位名詞〉 の形は、 単独で現れてその数量のものを表すこともある。 このとき、 〈数詞+単位名詞〉 という句の連性や格や定性は意味によって通常通り決まるが、 類は単位名詞がもつ類に一致する。

Ле360и леме̂три леци̂нти асу̂к ѝ локу̂лаккев ҕи̂нам би̂зе.
この道の最初の 500 m にはカーブがたくさんある。
Ночту̂вно золхи̂влос ду̂ччафи чоду̂лви.
彼女は 6 分で出かける準備をした。

1 では、 ле360и леме̂три の部分が 〈数詞+単位名詞〉 の形で 「(およそ) 500 m の」 を意味している。 ここではこれが単独で現れているので、 「500 m 分の長さがある一部」 を表している。 2 では、 ду̂ччафи чоду̂лви の部分が 〈数詞+単位名詞〉 の形で 「6 分の」 を意味しており、 ここでは 「6 分だけの時間」 を表している。

この用法において単位名詞が省略された場合、 数詞が整数ならば、 その個数のものを表す。 多くの場合で、 全体を表す表現の連体形を後ろにとって 「~のうちの~個」 の意味になる。 数詞は常に赤類をとり、 修飾語の名詞の類とは無関係であることに注意せよ。

Хе̂о е̂ко ши̂та цѐ летти̂члев.
彼は私の兄弟の 1 人だ。

3 では、 ши̂та が 〈数詞+単位名詞〉 の形から単位名詞が省略されたものだと解釈できる。 ここでは、 後ろの цѐ летти̂члев 「私の兄弟の」 を受けて、 「そのうちの 1 人」 を表している。

数詞が分数ならば、 個数ではなく割合を表す。 このとき、 原則として数詞は赤類をとるが、 例外的に сесси̂мар 「5 分の 1」, сеӈу̂чое 「7 分の 1」, сеххи̂ват 「8 分の 1」 とその合成語だけは常に青類をとる。

Би̂всосесси̂мро ловсесу̂кев е̂ко тесу̂ало.
メンバーの 5 分の 2 は学生だ。

4 では、 би̂всосесси̂мро が分数名詞で、 後ろの ловсесу̂кев 「メンバーの」 を受けて、 「そのうちの 5 分の 2」 という割合を表している。

なお、 この形は時刻の表現にも用いられる。 詳細は #TGY を参照せよ。

#TVD.序数詞として

数詞の赤類処格不定形は、 単独で用いられて序数を表す。 この形の数詞は、 特に 「序数詞 (ordinal)」 と呼ばれることがある。

序数詞の連体形は、 名詞を修飾してその順番や位置を表す。

И̂с е̂к цѐ ву̂до би̂всеве.
これは私の 2 つ目の家だ。

この形は連用形をとって動詞を修飾することもある。

#TVF.名称として

名詞の後にそれと連性や格などが全て一致する数詞が続いた場合、 その数詞は名称としての数を表していると解釈される。

И̂цце ису̂к лоҕу̂ззе лесси̂мре е̂дде.
私なら今 5 号棟にいる。
Лоддеду̂ско су̂ко леги̂жни лодгу̂ччафи.
オフィスは 9 階にある。

1 にある лоҕу̂ззе лесси̂мре は、 「5 という建物」 すなわち 「5 号棟」 といった意味である。 また、 2 にある леги̂жни лодгу̂ччафи は、 「9 という階」 すなわち 「9 階」 の意味である。 これは建物の階層を表す定型表現である。

なお、 この形は日付の表現にも用いられる。 詳細は #TGM を参照せよ。

上限や下限の表現

#TQI.比較表現による方法

数値の上限や下限は、 比較表現によって表されることがある。

Тожадди̂со чи̂ко можи̂ццако̀ би̂зе ту̂сревзам ефи̂нналос ѝ леси̂рсот.
このゲームで遊ぶには 3 人以上の人が必要だ。

1чи̂ко можи̂ццако̀ би̂зе ту̂сревзам の部分が 「3 人以上の人」 を意味している。 これは、 можи̂ццако̀ би̂зе が比較表現で 「~以上に多い」 を意味しており、 その比較対象として ту̂сревзам が置かれた形である。 ту̂сревзам は数詞が単独で用いられているもので、 ここでは 「3 人の人」 を表している。 したがって、 можи̂ццако̀ би̂зе ту̂сревзам 全体では 「3 人の人以上に多い」 すなわち 「3 人以上の」 の意味になる。 なお、 数詞単独の用法については #TVG を参照せよ。

#TQO.前置詞による方法

前置詞の феччагона はそれぞれ 「少なくとも」 と 「多くとも」 を意味し、 数量表現に前置されて上限や下限を表す。

Тожадди̂со чи̂ко фечча ту̂сревот ефи̂нналос ѝ леси̂рсот.
このゲームで遊ぶには少なくとも 3 人の人が必要だ。

1чи̂ко фечча ту̂сревот の部分が 「少なくとも 3 人の人」 もしくは 「3 人以上の人」 を意味している。 これは、 чи̂ко ту̂сревот 「3 人の人」 という表現に фечча が挿入された形である。

日付と時刻

#TGM.日付

日付の表現は、 〈ки̂шшар, ли̂ккасо, гу̂жно の定形 + それと類と格が一致する数詞の定形〉 を構成単位として、 2 つ目以降の構成単位が連体主格形となって前の構成単位に係る形で作られる。 これらの構成単位は、 日年の順で並べられる。 すなわち、 例えば 「2024 年 4 月 19 日」 は леке̂шшар ле17 леле̂кассов ле4ов логу̂жнов ле1208ов となり、 これは直訳で 「2024 という年の 4 という月の 19 という日」 という表現になっている。 日や月や年のうちいくつかが言及されない場合も同様で、 「1 月 23 日」 と 「1995 年 9 月」 はそれぞれ леке̂шшар ло1 леле̂кассов ле1овлеле̂кассо ло9о логу̂жнов ле113ов となる。

ただし、 ほとんどの場合で、 ки̂шшар, ли̂ккасо, гу̂жно が省略されて数詞だけが並ぶ形が用いられる。 例えば、 「2024 年 4 月 19 日」 であれば ле17 ле4ов ле1208ов と表現されることが多い。

Лефи̂ннеôрашше цану̂тан до̀сау̂кла до ле17и ле4ов ле1208ов.
フェンナ語は 2024 年 4 月 19 日に作られ始めた。

#TGH.曜日

曜日の表現は、 日付と同様に 〈сеӈу̂чоо の定形 + それに類と格が一致する名詞の定形〉 で表現される。 週は月曜日から始まり日曜日で終わると考えられているため、 лосӈу̂чоо леши̂то が 「月曜日」 を意味し、 лосӈу̂чоо лоӈу̂чоо が 「日曜日」 を意味する。

日付の場合とは異なり、 сеӈу̂чоо 自身が省略されることはない。

Лосӈу̂чое лоду̂ччафе лехи̂де бо̀ бамезефи̂х ҕаду̂ллос си̂ата.
次の土曜日は服を買いに行きましょう。

#TGY.時刻

#TCK.時分秒による表現

時と分と秒による時刻の表現は、 〈数詞の定形 + ди̂ссаро, чоду̂лав, ҕоди̂жас の定形〉 を構成単位として、 これらが и で繋がれた形が用いられる。 これらの構成単位は、 時秒の順で置かれる。 例えば 「12 時 23 分 34 秒」 は ло10о лоди̂ссаро и ле1 лочду̂лав и ло2 леҕди̂жас となる。

#TCG.分数時による表現

時刻の表現には、 分と秒を用いずに、 分数を用いて 「a+b/12 時」 (b/12 は適宜約分される) の形で述べる方法もある。 例えば 「8 時 45 分」 は、 8 3/4 時であるから леххи̂втиночки̂ҕҕажо лоди̂ссаро と表現される。 またこの表現に限って、 5/12 と 7/12 を表す асси̂мречи̂лавӈу̂чоечи̂лав の後半の чи̂лав は省略され、 単にそれぞれ асси̂марӈу̂чое と言われる。 参考のため、 以下に 60 単位における分と分数による時の表現の比較表を載せておく。

分数の読み
5 分1/12 時чи̂лав
10 分1/6 時чоги̂лав
15 分1/4 時ки̂ҕҕаж
20 分1/3 時му̂тас
25 分5/12 時асси̂мар
分数の読み
30 分1/2 時ду̂чаф
35 分7/12 時ӈу̂чое
40 分2/3 時ночму̂тас
45 分3/4 時ночки̂ҕҕаж
50 分5/6 時ноччоги̂лав
55 分11/12 時ноччи̂лав

この方式では 5 分刻みの時刻を述べることができる。 5 分より細かい精度が必要のない日常の場面においては、 この方式の方が時分秒による表現より好まれる。

Бо̀ тевешти̂ез и̂ддес до ле8·НКе лоди̂ссаре.
8 時 45 分にここに集まってください。

なお、 この方式の表記については #TCJ を参照せよ。