Avendia19
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日記 (2019 年 8 月 9 日)

定義 4 です。 ちょっと長いです。

1 単語目の εὐθεῖα は、 「直線」 の意味の第 1 変化名詞です。 普通の第 1 変化名詞とは異なり ではなく で終わっていますが、 これは語幹が ε, ι, ρ で終わる場合に (長音と短音のどちらにもなり得る) になるためです [§24]。 曲用は、 曲用語尾の η を全部長音の α に変えるだけですが、 単数主格の が短音の場合は、 単数主格と単数対格と単数呼格の α が短音になります。

εὐθεῖα
単.主εὐθεῖ-α
単.属εὐθεί-ας
単.与εὐθεί-ᾳ
単.対εὐθεῖ-αν
単.呼εὐθεῖ-α
複.主εὐθεῖ-αι
複.属εὐθει-ῶν
複.与εὐθεί-αις
複.対εὐθεί-ας
複.呼εὐθεῖ-αι

4 単語目の ἥτις は、 不定関係代名詞 ὅστις の女性単数主格形です。 不定関係代名詞とは、 英語の whoever や whichever に対応する単語で、 使い方は普通の関係代名詞とほぼ同じです [§64]。 さらに、 この単語は関係代名詞 ὅς と不定代名詞 τις の合成によって作られたものなので、 この 2 つの構成単語を別々に曲用させれば ὅστις の曲用形が得られます。 ということで、 ὅστις の代わりに τις の曲用を載せておきます。 これは、 単数主格形を除いて 幹第 3 変化に準じますが、 ところどころに別形があります [§53]。

τις
男/女
単.主τιςτι
単.属τινός, τουτινός, του
単.与τινί, τῳτινί, τῳ
単.対τινάτι
複.主τινέςτινά
複.属τινῶντινῶν
複.与τισίτισί
複.対τινάςτινά

次の ἐξ ですが、 これは母音の前で使われる ἐκ の別形で、 属格を支配して 「~の中から」 などを表します。 これによって、 続く ἴσου が属格形になっています。

8 単語目の ἐφ' は、 前置詞 ἐπί の最後の ι が母音衝突を避けるために省略された形で、 後続する単語の最初が気音なので、 それに伴って πφ に変化しています。 ἐπί は後続する単語の格によっていろいろな意味がありますが、 今回は属格を支配して、 「~の上に」 を意味しています。 英語の on です。

9 単語目の ἑαυτῆς は、 再帰代名詞 ἑαυτοῦ の女性単数属格形です。 これは人称代名詞と強意代名詞 αὐτός の合成語なので、 曲用は αὐτός に準じます [§142]。 ということで、 まずは αὐτός の曲用ですが、 関係代名詞と一緒です [§67]。

αὐτός
単.主αὐτόςαὐτήαὐτό
単.属αὐτοῦαὐτῆςαὐτῶν
単.与αὐτῷαὐτῇαὐτοῖς
単.対αὐτόναὐτήναὐτό
複.主αὐτοίαὐταίαὐτά
複.属αὐτῶναὐτῶναὐτῶν
複.与αὐτοῖςαὐταῖςαὐτοῖς
複.対αὐτούςαὐτάςαὐτά

ἑαυτοῦ の曲用は、 ここに を付けるだけです。 ただし、 再帰代名詞なので主語として使われることはなく、 したがって主格は存在しません。 そのため、 辞書形としては男性単数属格の ἑαυτοῦ が用いられるようです。

最後の κεῖται は、 「横たわる」 の意味の κεῖμαι の変化形です。 英語の lie ですね。 これは能動相欠如動詞の一種で、 能動相の形が存在せず、 代わりに中動相や受動相で能動の意味を出します [§136]。

κεῖμαι
直.中.現
一単κεῖ-μαι
二単κεῖ-σαι
三単κεῖ-ται
一複κεί-μεθα
二複κεῖ-σθε
三複κεῖ-νται
κεῖ-σθαι

せっかくなので、 一般的な 動詞の直接法中動相現在の活用形も確認しておきます。 特徴としては、 二人称単数形で活用語尾の σ が落ち、 母音融合を起こすところです [§133]。 動詞は、 動詞幹に ε (鼻音の前では ο) を加えた形が時称幹になりますが、 能動相では活用語尾と融合して分かりづらかったこの母音が、 中動相では分かりやすくなっています。

παιδεύω
直.中.現
一単παιδεύ-ο-μαι
二単παιδεύ-ῃ (< παιδεύ-ε-σαι)
三単παιδεύ-ε-ται
一複παιδευ-ό-μεθα
二複παιδεύ-ε-σθε
三複παιδεύ-ο-νται
παιδεύ-ε-σθαι

文構造を読み取ります。

コンマの前までは良いでしょう。 コンマの直後に ἥτις は、 これが女性単数形であることから先行詞は γραμμή であることが分かり、 さらにこれは主格なので、 関係節内の κεῖται の主語になっていることが分かります。 続く ἐξ ἴσου は副詞句として 「等しく」 や 「均一に」 などとすれば良いと思います。

その後ですが、 τοῖς が与格形なので与格になっている名詞を探すと σημείοις があるので、 τοῖς ἐφ' ἑαυτῆς σημείοις で 1 つの句になっていそうです。 ἐφ' ἑαυτῆς は 「それ自身の上で」 であり、 ここにある ἑαυτῆς は女性単数形なので、 γραμμή を受けていると解釈して良いでしょう。 したがって、 この部分は 「その直線自身の上の点」 と訳せます。 ここは与格になっているので、 「~において」 とすれば良いのかな (もっと適切な訳があるかも)。

まあ、 訳せはしたんですが、 結局何を言ってるんですかね、 これ・・・。

追記 (2019 年 8 月 11 日)

解釈の誤りがあったので訂正します。 ・・・と言っても、 致命的なものではないですが。

最初の単語である εὐθεῖα ですが、 これは 「真っ直ぐな」 を意味する εὐθύς の女性単数主格形と見るのが正しそうです。 こうすると、 次の γραμμή を修飾して、 全体で 「直線」 の意味になります。

ただし、 以降は εὐθεῖα γραμμή を省略して εὐθεῖα 単独で 「直線」 の意味で使われているので、 前の解釈が間違っているとも言い難いです。 しかし、 次のような理由で、 こちらの解釈の方が正しそうです。 まず、 『原論』 における定義では、 定義するものの名詞 + ἐστιν + コンマ + 定義内容という文体が多いので、 これに沿っていると仮定すれば εὐθεῖα γραμμή で 1 つの名詞とするのが統一感があります。 また、 定義 7 も同じ問題を抱えていて、 ἐπίπεδος が 「平面」 の意味の名詞なのか 「平らな」 の意味の形容詞なのか曖昧です。 ここで、 定義 15 に ἐπίπεδον という形が出てくるのですが、 これを名詞 ἐπίπεδος の単数対格形と判断すると文意が通らず、 形容詞 ἐπίπεδος の中性単数主格形と解釈するしかありません。 後に ἐπίπεδος が形容詞として使われているので、 定義 7 の ἐπίπεδος も形容詞とするのが良さそうですし、 それに合わせて定義 4 の εὐθεῖα も形容詞とするのが良さそうです。

ちなみに εὐθύς は、 -υς/-εια/ 型形容詞で、 曲用の説明はそのうち出てきます。