日記 (2019 年 8 月 17 日)

定義 20 です。

τῶν δὲ τριπλεύρων σχημάτων ἰσόπλευρον μὲν τρίγωνόν ἐστι τὸ τ`ς τρεῖς ἴσᾱς ἔχον πλευρ´ς, ἰσοσκελὲς δὲ τὸ τ`ς δύο μόνᾱς ἴσᾱς ἔχον πλευρ´ς, σκαληνὸν δὲ τὸ τ`ς τρεῖς ἀνίσους ἔχον πλευρ´ς.
そして、 三辺形のうち、 等辺三角形とは 3 つの等しい辺をもつものであり、 二等辺三角形とは 2 つの等しい辺だけをもつものであり、 不等辺三角形とは 3 つの等しくない辺をもつものである。
τῶν冠|中.複.属 δὲδέそして τριπλεύρωντρίπλευρος3 辺の|中.複.属 σχημάτωνσχῆμα図形|複.属 ἰσόπλευρονισόπλεθρος等辺の|中.単.主 μὲνμέν一方で τρίγωνόντρίγωνον三角形|単.主 ἐστιἐιμίである|直.能.現.三単 τὸ冠|中.単.主 τ`ς冠|女.複.対 τρεῖςτρεῖς3|女.対 ἴσᾱςἴσος等しい|女.複.対 ἔχονἔχωもつ|分.能.現.中.単.主 πλευρ´ςπλευρ´|複.対, ἰσοσκελὲςἰσοσκελής二等辺の|中.単.主 δὲδέそして τὸ冠|中.単.主 τ`ς冠|女.複.対 δύοδύο2 μόνᾱςμόνοςだけ|女.複.対 ἴσᾱςἴσος等しい|女.複.対 ἔχονἔχωもつ|分.能.現.中.単.主 πλευρ´ςπλαυρά|複.対, σκαληνὸνσκαληνός不等辺の|中.単.主 δὲδέそして τὸ冠|中.単.主 τ`ς冠|女.複.対 τρεῖςτρεῖς3|女.対 ἀνίσουςἄνισος等しくない|女.複.対 ἔχονἔχωもつ|分.能.現.中.単.主 πλευρ´ςπλευρ´|複.対.

文頭には τῶν τριπλεύρων σχημάτων という 「三辺形」 の意味の属格の名詞句があります。 これが直後の ἰσόπλευρον τρίγωνόν を連体詞的に限定しているとすると、 合わせて 「三辺形の等辺三角形」 となりますが、 何か不自然です。 属格には 「~のうち」 のような部分に対して全体を明示する役割があるので、 この意味だと考えれば、 「三辺形のうちの等辺三角形」 と訳すことができ、 文意が通ります。

続く ἐστι の後は等辺三角形の定義です。 まずは τὸ があるので、 単数主格形の中性名詞を探すと、 分詞の ἔχον が見つかります。 そこで、 いつも通りこの間にある τ`ς τρεῖς ἴσᾱς の部分は ἔχον に係る修飾語だと考えると、 ここは 「3 つの等しいものをもつもの」 と訳せますが、 「等しいもの」 が何なのか分かりませんし、 ἔχον の直後にある πλευρ´ς が浮いてしまいます。 ここは、 τ`ςτρεῖςἴσᾱς は全て πλευρ´ς に係っているとし、 τ`ς τρεῖς ἴσᾱς πλευρ´ς という塊で ἔχον の目的語を表しているとすれば、 「3 つの等しい辺をもつもの」 となり、 等辺三角形の定義として妥当になります。 この解釈では τρεῖς などが ἔχον を飛び越えて修飾しているわけなので、 英語などの感覚からすると不自然ですが、 実は古典ギリシャ語では十分あり得ます。 このような構造は non-projective と呼ばれるそうです。

コンマの後は ἰσοσκελὲς とあり、 その後に τὸ から始まる前の箇所と同じような構文が続きます。 ἰσοσκελής は、 「等しい」 の意味の ἴσος と 「脚」 の意味の σκέλος が合成された形容詞で、 ここでは 「二等辺の」 の意味で使われています。 三角形の 1 つの頂点から伸びる 2 本の脚 (というか辺) が等しいというわけですね。 なお、 ここの ἰσοσκελὲς は形容詞なので、 直後に τρίγωνον が省略されていると考えて 「二等辺三角形」 と訳すのが良さそうです。

最後の箇所もこれまでの 2 つと同様で、 不等辺三角形の定義をしています。

続けて定義 21 もやります。

ἔτι δὲ τῶν τριπλεύρων σχημάτων ὀρθογώνιον μὲν τρίγωνόν ἐστι τὸ ἔχον ὀρθὴν γωνίᾱν, ἀμβλυγώνιον δὲ τὸ ἔχον ἀμβλεῖαν γωνίᾱν, ὀξυγώνιον δὲ τὸ τ`ς τρεῖς ὀξείᾱς ἔχον γωνίᾱς.
さらに、 三辺形のうち、 直角三角形とは直角をもつものであり、 鈍角三角形とは鈍角をもつものであり、 鋭角三角形とは 3 つの鋭角をもつものである。
ἔτιἔτιさらに δὲδέそして τῶν冠|中.複.属 τριπλεύρωντρίπλευρος3 辺の|中.複.属 σχημάτωνσχῆμα図形|複.属 ὀρθογώνιονὀρθογώνιος直角の|中.単.主 μὲνμέν一方で τρίγωνόντρίγωνον三角形|単.主 ἐστιἐιμίである|直.能.現.三単 τὸ冠|中.単.主 ἔχονἔχωもつ|分.能.現.中.単.主 ὀρθὴνὀρθός直角の|女.単.対 γωνίᾱνγωνίᾱ|単.対, ἀμβλυγώνιονἀμβλυγώνιος鈍角の|中.単.主 δὲδέそして τὸ冠|中.単.主 ἔχονἔχωもつ|分.能.現.中.単.主 ἀμβλεῖανἀμβλύς鈍い|女.単.対 γωνίᾱνγωνίᾱ|単.対, ὀξυγώνιονὀξυγώνιος鋭角の|中.単.主 δὲδέそして τὸ冠|中.単.主 τ`ς冠|女.複.対 τρεῖςτρεῖς3|女.対 ὀξείᾱςὀξύς鋭い|女.複.対 ἔχονἔχωもつ|分.能.現.中.単.主 γωνίᾱςγωνίᾱ|複.対.

前の文と同じような感じですね。 τῶν τριπλεύρων σχημάτων は 「三辺形のうち」、 ὀρθογώνιον τρίγωνόν は 「直角三角形」、 τὸ ἔχον ὀρθὴν γωνίᾱν は 「直角をもつもの」 です。 残りの 2 つの節も同様です。

最後の τὸ τ`ς τρεῖς ὀξείᾱς ἔχον γωνίᾱς だけは注意が必要で、 前の文のときにも触れたように、 τ`ςτρεῖςὀξείᾱς が全て ἔχον を飛び越えて γωνίᾱς に係っています。 つまり、 「3 つの鋭角をもつもの」 ですね。