日記 (2019 年 8 月 10 日)
定義 5 です。
- ἐπιφάνεια δέ ἐστιν, ὃ μῆκος καὶ πλάτος μόνον ἔχει.
- そして、 面とは長さと幅だけをもつものである。
- ἐπιφάνειαἐπιφάνεια面|単.主 δέδέそして ἐστινεἰμίである|直.能.現.三単, ὃὃ関|中.単.主 μῆκοςμῆκος長さ|単.主 καὶκαίと πλάτοςπλάτος幅|単.主 μόνονμόνοςだけ|中.単.対 ἔχειἔχωもつ|直.能.現.三単.
8 月 8 日にやった定義 1 と同じ構文なので、 難しくありませんね。 新しく ἐπιφάνεια と πλάτος が出てきましたが、 それぞれ εὐθεῖα と μέρος と同じ曲用をします。
いきなり蛇足ですが、 最初に出てくる ἐπιφάνεια は、 「著名な」 や 「出現する」 を意味する形容詞 ἐπιφανής が名詞化されたもので、 これはさらに 「出現させる」 や 「現れる」 を意味する動詞 φαίνω に ἐπι- が付いたものが由来です。 ἐπιφάνεια 自身には 「出現」 や 「見える部分」 の意味があり、 そこから幾何学の文脈で 「面」 も表すようになったっぽいです。 φαίνω は phenomenon の pheno- のところに残ってますね。
μόνον は、 英語の only に相当する形容詞の μόνος の中性単数対格形です。 形容詞の中性対格形は、 単数複数を問わず、 副詞的に用いられることがあります。 μῆκος καὶ πλάτος に係る形容詞だとすると単数形なのがおかしいので、 ここでは副詞的に使われているのだと思います。
ところで、 この μόνος ですが、 英語の接頭辞の mono- に残ってますね。 化学物質の名前でよく使われるので、 そういう文脈で 「mono- はギリシャ語で 1 を表していて」 という説明を見ますが、 μόνος は厳密には only や unique に対応する単語なので、 微妙に違いますよね。 ギリシャ語の数詞の 1 は εἷς (女性形 μία, 中性形 ἕν) です。
最後の ἔχει は、 「もつ」 の意味の ἔχω の直説法能動相現在時制の三人称単数形ですね。 今さらな感じもしますが、 -ω 動詞の直説法能動相現在時制の活用を復習しておきます [§28]。
直.能.現 | |
---|---|
一単 | ἔχ-ω |
二単 | ἔχ-εις |
三単 | ἔχ-ει |
一複 | ἔχ-ομεν |
二複 | ἔχ-ετε |
三複 | ἔχ-ουσι |
不 | ἔχ-ειν |
次の定義 6 も短いのでやってしまいます。
- ἐπιφανείᾱς δὲ πέρατα γραμμαί.
- そして、 面の端は線である。
- ἐπιφανείᾱςἐπιφάνεια面|単.属 δὲδέそして πέραταπέρας端|複.主 γραμμαίγραμμή線|複.主.
これはもう言うことないです。