日記 (2021 年 3 月 12 日)
Hyland–Schalk†1 の二重貼り合わせ圏についてまとめる。
圏
の対象は、Gl ( ; F , G ) の対象 およびA の対象 およびS , S の射 から成る 5 つ組s : S → F A , s : S → G A とする。( A ; S , S , s , s ) の 2 つの対象Gl ( ; F , G ) の間の射は、( A ; S , S , s , s ) , ( B ; T , T , t , t ) の射 およびf : A → B の射 から成る 3 つ組h : S → T , h : T → S であって、 図式( f ; h , h ) がともに可換であるものとする。S T F A F B h F f s t T S G B G A h G f t s
この圏
もとの圏が対称モノイダル閉圏で、 さらにいくつかの条件が満たされていれば、 二重貼り合わせ圏もまた対称モノイダル閉圏になる。
圏
はともに対称モノイダル閉圏である。 , は引き戻しをもつ。 はモノイダル関手である。 すなわち、F : → の対象 に対してA , B の射 が定まっており、 適切な整合性条件を満たす。 χ A B : F A ⊗ F B → F ( A ⊗ B ) , χ : ⊤ → F ⊤ の対象 に対してA , B の射 が定まっており、 これはκ A B : F A ⊗ G ( A ⊗ B ) → G B 両方に関して自然である。 さらに、A , B の対象 に対して、A , B , C がともに可換である。 この射をF A ⊗ F B ⊗ G ( A ⊗ B ⊗ C ) F B ⊗ F A ⊗ G ( A ⊗ B ⊗ C ) F B ⊗ G ( B ⊗ C ) F ( A ⊗ B ) ⊗ G ( A ⊗ B ⊗ C ) G C σ ⊗ id χ ⊗ id id ⊗ κ κ κ ⊤ ⊗ G A G A F ⊤ ⊗ G ( ⊤ ⊗ A ) λ χ ⊗ G λ − 1 κ とF の簡約射 (contraction) と呼ぶ。G
を満たすとする。
このとき、
与えられた条件のもと、
多くの線型論理の興味深いモデルが、 二重貼り合わせ圏の部分圏として現れることが知られている。
そのうちの興味深いケースとして、
圏
の対象は、Gl ( , ⫫ ) の対象 および部分集合A から成る 3 つ組S ⊆ Hom ( ⊤ , A ) , S ⊆ Hom ( A , ⫫ ) とする。( A ; S , S ) の 2 つの対象Gl ( , ⫫ ) の間の射は、( A ; S , S ) , ( B ; T , T ) の射 であって、 任意のf : A → B の射 に対し、s : ⊤ → A , t : B → ⫫ を満たすものとする。s ∈ S ⟹ s f ∈ T t ∈ T ⟹ f t ∈ S
もとの圏が対称モノイダル閉圏ならば、 この圏も対称モノイダル閉圏になる。
圏
仮定から
さらに、 この部分圏である
次回は、 定理 1.4 で与えられる
参考文献
- M. Hyland, A. Schalk (2003) 「Glueing and orthogonality for models of linear logic」 『Theoretical Computer Science』 294:183–231