Avendia19
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日記 (2020 年 8 月 3 日)

今日は、 局所表示可能圏が完備であることを見る。

まずは準備として、 稠密部分圏に関する性質を証明する。

定義 5.1

󰒚 とその小部分圏 󰒪󰒚 をとる。 󰒚 の任意の対象 C に対し、 関手 G: 󰒪/C 󰒚 s:SC S の余錐 (s:GsC)s󰒪/C が余極限になるとき、 󰒪稠密dense であるという。

定義 5.2

󰒚 とその小部分圏 󰒪󰒚 に対し、 関手 z: 󰒚 Set󰒪 C 󰒪 Set S Hom(S,C)制限 Yoneda 埋め込みrestricted — embeddingという。

󰒪z には以下の関係がある。

補題 5.3

󰒚 とその小部分圏 󰒪󰒚 に対し、 2 条件

  1. 󰒪 は稠密である。
  2. z は忠実充満である。

は同値である。

まず、 定義 5.1 中の関手 G:󰒪/C󰒚 について、 G の余錐 (ds:GsD)s󰒪/C と自然変換 d:zCzD は同じものであることが観察できる。

󰒪 が稠密であるということは、 余錐 (s:GsC)s󰒪/C が余極限であることであった。 これはすなわち、 任意の余錐 (ds:GsD)s󰒪/C に対し、 射 h:CD が一意に存在して、 各 󰒪/C の対象 s に対して s󰖡h=ds が成り立つということである。 上の観察により、 このことは、 任意の自然変換 d:zCzD に対し、 射 h:CD が一意に存在して、 zh=d が成り立つということである。 これは、 z が忠実充満であることを意味する。

さらに、 z の性質を 2 つ示す。

補題 5.4

󰒚 とその小部分圏 󰒪󰒚 に対し、 関手 z:󰒚Set󰒪 は単射を保存する。

任意に 󰒚 の単射 f:CD をとる。 このとき、 Set󰒪zf:zCzD が単射であることを示せば良いが、 そのためには各 󰒪 の対象 S に対して Set(zf)S:Hom(S,C)Hom(S,D) が単射であることを示せば良い。 この (zf)Sf を後ろに合成するという写像であるが、 f は単射だったから、 (zf)S も明らかに単射である。

補題 5.5

󰒚 とその小部分圏 󰒪󰒚 に対し、 󰒚 が余完備ならば、 関手 z:󰒚Set󰒪 は左随伴をもつ。

Set󰒪 の対象 P に対し、 元の圏からの忘却関手 F: El(P) 󰒚 (S,s) S を考えると、 仮定から 󰒚 は余完備なので、 この余極限 (c(S,s):F(S,s)C)(S,s)El(P) がとれる。 さらに、 各 󰒪 の対象 S に対し、 ηS: PS Hom(S,C) s c(S,s) とおくと、 これは S について自然であるから、 Set󰒪 の射 η:PzC が得られる。 これが P からの普遍射であることを示せば良い。

任意に Set󰒪 の射 η󰎘:PzC󰎘 をとる。 このとき、 (ηS󰎘s:F(S,s)C󰎘)(S,s)El(P)F の余錐になる。 したがって、 余極限の普遍性によって、 射 h:CC󰎘 が一意に存在して、 任意の El(P) の対象 (S,s) に対し、 󰒚 での図式 F(S,s)CC󰎘c(S,s)ηS󰎘sh が可換になる。 これは、 Set󰒪 での図式 FzCzC󰎘ηη󰎘zh が可換であると言い換えることができ、 このことは η が普遍射であることを意味する。

では、 到達可能圏についての議論に戻ろう。 定義 4.6 では、 κ-到達可能圏 󰒚κ-表示可能対象の同型類の代表元全体を Presκ(󰒚) と定義したが、 これが稠密になっている。

定理 5.6

正則基数 κ をとる。 κ-到達可能圏 󰒚 に対し、 Presκ(󰒚) は稠密である。

まず、 定理 4.7 により 󰒪:=Presκ(󰒚) は小である。 󰒚 の任意の対象 C をとり、 関手 G: 󰒪/C 󰒚 s:SC S を考える。

󰒚κ-到達可能だから、 κ-表示可能対象の κ-有向図式 F:󰒠󰒚 によって C=colimF と書ける。 この余極限余錐を (ci:FiC)i󰒠 とおく。 このとき、 H: 󰒠 󰒪/C i ci は関手であり、 H󰖡G=F が成り立つ。 したがって、 H が終であることが示されれば、 colimG=colimF=C となって 󰒪 が稠密であることが示される。 定理 1.6 により、 任意に 󰒪/C の対象 s:SC をとって、 sH が連結であることを示せば良い。

まず、 sH が空でないことを示す。 S󰒪 の対象より κ-表示可能で Cκ-有向余極限だから、 ある 󰒠 の対象 i が存在して、 SCFisgci と分解できる。 この g は、 󰒪/C の射 g:sHi と見なせ、 したがって sH の対象である。 これより、 sH は空でない。

次に、 任意に sH の対象 g:sHi,g󰎘:sHi󰎘 をとり、 gg󰎘sH の射で結ばれることを示す。 󰒪/C の射として g:sHi, g󰎘:sHi󰎘 であるから、 󰒚 の射としては g:SFi, g󰎘:SFi󰎘 であり、 s=g󰖡ci=g󰎘󰖡ci󰎘 が成り立つ。 すなわち、 s の 2 通りの分解が存在することになるので、 そのような分解が本質的に一意であることから、 ある 󰒠 の対象 󰔄i が存在して、 i󰔄i かつ i󰎘󰔄i であって、 g󰖡Fi󰔄i=g󰎘󰖡Fi󰎘󰔄i が成り立つ。 この等しい射を 󰔄g:SF󰔄i とおく。 すると、 󰔄g󰖡c󰔄i=g󰖡Fi󰔄i󰖡c󰔄i=g󰖡ci=s であるから、 󰒪/C の射 󰔄g:sH󰔄i と見なすことができ、 したがって 󰔄gsH の対象である。 さらに、 󰒠 の射 u:i󰔄i, u󰎘:i󰎘󰔄i はそれぞれ sH の射 u:g󰔄g, u󰎘:g󰎘󰔄g と見なすことができる。 したがって、 gg󰎘sH の射で結ばれた。 以上により、 sH は連結である。

ここで、 次のよく知られた性質を思い出そう。

命題 5.7

󰒛 の反射的部分圏 󰒚󰒛 をとる。 󰒛 が完備ならば、 󰒚 も完備である。

以上で示した性質を使うと、 全ての κ-局所表示可能圏が完備であることが示せる。

定理 5.8

正則基数 κ をとる。 全ての κ-局所表示可能圏は完備である。

κ-局所表示可能圏 󰒚 をとり、 󰒪:=Presκ(󰒚) とおく。 さらに、 制限 Yoneda 埋め込み z:󰒚Set󰒪 を考える。 定理 5.6 により 󰒪 は稠密だから、 補題 5.3 により z は忠実充満である。 さらに、 󰒚 は余完備だから、 補題 5.5 により z は左随伴をもつ。 以上により、 󰒚Set󰒪 の反射的部分圏と圏同値である。 Set󰒪 は完備だから、 最後に命題 5.7 を使えば 󰒚 も完備であることが従う。

ついでに、 全ての κ-到達可能圏が冪化可能であることも示せる。 こちらは余完備性を使わないので、 κ-局所表示可能とは限らなくても κ-到達可能であれば成り立つ。

定理 5.9

正則基数 κ をとる。 全ての κ-到達可能圏は冪化可能である。

κ-到達可能圏 󰒚 をとり、 󰒪:=Presκ(󰒚) とおき、 制限 Yoneda 埋め込み z:󰒚Set󰒪 を考える。 定理 5.6補題 5.3 によって z は忠実充満で、 補題 5.4 によって z は単射を保存する。 したがって、 任意の 󰒚 の対象 C に対し、 Ш: Sub󰒚(C) SubSet󰒪(zC) m zm は全単射である。 Set󰒪 は冪化可能なので Sub(zC) は集合サイズだから、 これより Sub(C) も集合サイズである。 以上により、 󰒚 は冪化可能である。

参考文献

  1. J. Adámek, J. Rosický (1994) 『Locally Presentable and Accessible Categories』 Cambridge University Press