日記 (2020 年 2 月 7 日)
にゃーん。
- οὐδὲ γὰρ ἀναβιβάσασθαι οἷόν τ' ἐστὶν αὐτῶν ἐνταυθοῖ οὐδ' ἐλέγξαι οὐδένα, ἀλλ' ἀνάγκη ἀτεχνῶς ὥσπερ σκιᾱμαχεῖν ἀπολογούμενόν τε καὶ ἐλέγχειν μηδενὸς ἀποκρῑνομένου.
- 彼らのうち誰もを、 ここへ登らせたり追及したりすることはできない。 しかし単に、 弁解するにあたって、 まるで影と戦うように、 誰も返答しない状況で追及する必要がある。
- οὐδὲ γὰρ ἀναβιβάσασθαιἀναβιβάζω登らせる|不.中.ア1 οἷόν τ' ἐστὶν αὐτῶν ἐνταυθοῖἐνταυθοῖここへ οὐδ' ἐλέγξαιἐλέγχω追及する|不.能.ア1 οὐδένα, ἀλλ' ἀνάγκηἀνάγκη必要|単.主 ἀτεχνῶς ὥσπερ σκιᾱμαχεῖνσκιᾱμαχέω影と戦う|不.能.現 ἀπολογούμενόνἀπολογέομαι弁解する|分.中.現.男.単.対 τε καὶ ἐλέγχεινἐλέγχω追及する|不.能.現 μηδενὸς ἀποκρῑνομένουἀποκρῑ´νω返答する|分.中.現.男.単.属.
ἀνάγκη 「必要」。 ἀνάγκη ἐστί の形でさらに不定法を伴うと、 「~する必要がある」 の意味になります。 この ἐστί はしばしば省略されます。
σκιᾱμαχεῖν < σκιᾱμαχέω 「影と戦う」。 σκιᾱ´ 「影」 と μάχη 「戦」 の合成によって作られた動詞です。 比喩的に 「架空の相手と戦う」 のような意味で使われます。
前半部分の根幹は οἷον ἐστὶν で、 2 月 3 日の 18c-4 にもでてきたように、 この οἷον は不定法を伴って可能の意味を表します。 その不定法というのが、 οὐδέ で結ばれた (否定の意味の) ἀναβιβάσασθαι と ἐλέγξαι の 2 つです。 ἀναβιβάσασθαι には ἐνταυθοῖ が係って 「ここへ登らせる」 の意味になっていて、 ἐλέγξαι は 「追求する」 の意味です。 οὐδένα はこの 2 つの不定法の共通の目的語になっています。 途中に出てきた αὐτῶν は、 部分を表す属格で 「~のうち」 のような意味になり、 οὐδένα に係ります。 …語順がめちゃくちゃすぎない?
なお、 οὐδέ と οὐδένα で否定語が 2 つ重なった形になっていますが、 これは 2 つ合わせて強い否定を表します。 οὐδενός のような合成否定語が別の否定語と使われたときは、 合成否定語の方はもう一方の否定語の否定の意味を単に強めます [S:§2761]。
ἀπολογούμενόν が対格で置かれていますが、 これは σκιᾱμαχεῖν の主語である (省略された) μέ に一致して、 副詞的に状況を表しているのだと思います。 不定法の主語は対格で表すので、 その対格に一致しているわけですね。 また、 文末の μηδενὸς ἀποκρῑνομένου は、 絶対属格の分詞で、 同じく副詞的に状況を表します。
- ἀξιώσατε οὖν καὶ ῡ῾μεῖς, ὥσπερ ἐγὼ λέγω, διττούς μου τοὺς κατηγόρους γεγονέναι, ἑτέρους μὲν τοὺς ἄρτι κατηγορήσαντας, ἑτέρους δὲ τοὺς πάλαι οὓς ἐγὼ λέγω, καὶ οἰήθητε δεῖν πρὸς ἐκείνους πρῶτόν με ἀπολογήσασθαι.
- 私が言っているように、 2 種類の私の告発者が現れているとあなたたちは思え。 すなわち、 一方はちょうど今告発している人たち、 もう一方は私が話しているはるか昔の人たちが。 そして、 最初に後者に対して私が弁解する必要があると思え。
- ἀξιώσατεἀξιόω思う|命.能.ア1.二複 οὖν καὶ ῡ῾μεῖς, ὥσπερ ἐγὼ λέγω, διττούςδιττός2 種類の|男.複.対 μου τοὺς κατηγόρους γεγονέναιγίγνομαι現れる|不.能.完2, ἑτέρουςἕτερος一方|男.複.対 μὲν τοὺς ἄρτιἄρτιちょうど今 κατηγορήσανταςκατηγορέω告発する|分.能.ア1.男.複.対, ἑτέρουςἕτερος一方|男.複.対 δὲ τοὺς πάλαιπάλαιはるか昔 οὓς ἐγὼ λέγω, καὶ οἰήθητεοἴομαι思う|命.受.ア1.二複 δεῖνδέω必要がある|不.能.現 πρὸς ἐκείνους πρῶτόν με ἀπολογήσασθαιἀπολογέομαι弁解する|不.中.ア1.
ἀξιώσατε < ἀξιόω 「値すると思う, 期待する, 思う」。 ἄξιος 「価値がある」 から作られた動詞で、 不定法をとります。
この文は、 相手に対する命令文 2 つから成り立っていて、 1 つ目は ἀξιώσατε から λέγω までで、 2 つ目は οἰήθητε から文末までです。
最初の命令文の根幹部分は ἀξιώσατε で、 その目的語となるのが τοὺς κατηγόρους γεγονέναι という対格で主語が示されている不定法です。 διττούς は同格で τοὺς κατηγόρους に係り、 μου も同じく属詞として τοὺς κατηγόρους に係ります。 διττούς は 「2 種類の」 という意味ですが、 その 2 種類とは何なのかを説明しているのが、 続く ἑτέρους から始まる 2 つの語句になります。
後半の命令文の根幹部分は οἰήθητε で、 その目的語が δεῖν です。 これは非人称動詞として使われていて、 不定法を伴って 「~する必要がある」 という意味になりますが、 その不定法というのが ἀπολογήσασθαι です。 πρὸς ἐκείνους と πρῶτόν は ἀπολογήσασθαι に係る修飾語で、 με は ἀπολογήσασθαι の主語を表す対格名詞です。