Avendia19
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日記 (2019 年 8 月 18 日)

定義 22 です。 いよいよ定義は残り 2 つですね。

最後の方に出てくる ταῦτα は、 指示代名詞 οὗτος の変化形です。 この単語の変化はかなり不規則です。 基本的には τοῦτος という形の第 1 第 2 変化形容詞のように曲用しますが、 女性形の語尾に αη が含まれる場合は ουαυ に変わります。 さらに、 主格形では男性形と女性形で τ が落ち、 代わりに母音が気息化します [§66]。

οὗτος
単.主οὗτοςαὕτητοῦτο
単.属τούτουταύτηςτούτου
単.与τούτῳταύτῃτούτῳ
単.対τοῦτονταύτηντοῦτο
複.主οὗτοιαὗταιταῦτα
複.属τούτωντούτωντούτων
複.与τούτοιςταύταιςτούτοις
複.対τούτουςταύταςταῦτα

文末の καλείσθω は、 これまで何度も出てきた 「呼ぶ」 の意味の καλέω の命令法受動相現在時制の形です。 受動相だけ学ぶのも変な感じなので、 能動相も一緒にやってしまいましょう。

命令法能動相現在時制と命令法中動相現在時制の活用は以下の通りです [§179]。 動詞の場合、 他の法や相での現在時制の場合と同じく動詞幹の後に母音が入り、 その後に人称語尾が付けられます。 なお、 受動相の二人称単数形では、 人称語尾の σ が落ちて母音融合が起こります。

παιδεύω
命.能.現命.中.現
二単παίδευ-επαιδεύου (< παιδεύ-ε-σο)
三単παιδευ-έ-τωπαιδευ-έ-σθω
二複παιδεύ-ε-τεπαιδεύ-ε-σθε
三複παιδευ-ό-ντωνπαιδευ-έ-σθων

文中では καλέω の命令法が出てきましたが、 これは母音融合動詞なので、 上の表の変化をした後にさらに母音融合をする必要があります。

では、 文の解釈に移ります。 長いですが、 文構造自体はそんなに複雑ではありません。

最初の τῶν τετραπλεύρων σχημάτων は、 前回と同じく 「四辺形のうち」 で良いでしょう。 この後は τετράγωνον とあるので、 この単語の定義が続くはずだとして読むと、 ὃ ἰσόπλευρόν τέ ἐστι καὶ ὀρθογώνιον とあり 「等辺かつ直角であるもの」 とあります。 τεκαί によって ἰσόπλευρονὀρθογώνιον が並列されています。

この直後は ἑτερόμηκες という主格の名詞が来るので、 今度はこれの定義に移るのだと考えられます。 続きは ὃ ὀρθογώνιον μέν οὐκ ἰσόπλευρον δέ であり、 「直角だが等辺でない」 です。 μένδέ によって ὀρθογώνιονοὐκ ἰσόπλευρον が対比されています。 οὐκ は否定を表す οὐ の別形で、 無気の母音の前で使われます。

次は ῥόμβος の定義です。 前と一緒なので特に説明はいらないでしょう。

この後は ῥομβοειδές の定義です。 直後の τὸἔχον に係っていて、 間にある τὰς ἀπεναντίον πλευράς τε καὶ γωνίας ἴσας ἀλλήλαιςἔχον の説明になります。 この間にある語句ですが、 πλευράςγωνίαςκαί で繋げられていて、 これらはともに複数対格形なので、 最初にある冠詞の τὰς を受けていることが分かります。 また、 ἴσας ἀλλήλαις は 「互いに等しい」 という意味で、 これも女性複数対格形なので、 πλευράς τε καὶ γωνίας に係ると分かります。 問題は ἀπεναντίον で、 冠詞の後の限定的位置にあるので πλευράςγωνίας に係るはずですが、 曲用は中性単数主格形か中性単数対格形のいずれかとしか考えられず、 性数格が一致しません。 あまり自信はないですが、 中性単数対格形は副詞として用いられることがあるので、 この ἀπεναντίον は 「向かい合って (存在する)」 のような副詞なのではないでしょうか。 そうすると、 この部分は 「互いに等しい向かい合って (存在する) 辺と角をもつもの」 となり、 文意が通ります。 副詞って名詞にかかることもあるんですかね・・・。

続く ὃ οὔτε ἰσόπλευρόν ἐστιν οὔτε ὀρθογώνιον は関係代名詞節です。 οὔτε は英語の neither と nor に対応する単語で、 複数の語を否定して並列します。 ここでは ἰσόπλευρονὀρθογώνιον が否定されつつ並列されているので、 「等辺でも直角でもない」 です。 意味的に、 この関係代名詞節は前の τὸἔχον に係ると考えられます。

コロンに続く最後の節に移ります。 ここには最後に καλείσθω という三人称への命令法があります。 三人称への命令は、 主格の名詞をとって、 「(その名詞が) ~するようにせよ」 という意味になります。 したがって、 καλείσθωκαλέω の命令法受動相なので、 「(主格の名詞が) 呼ばれるようにせよ」 という意味です。

さて、 この箇所に出てくる前置詞の παρά は、 直後に対格があるので、 英語の against や contrary to に近い意味になります。 残りの名詞の τετράπλευρατραπέζια は、 どちらも中性名詞なので主格形なのか対格形なのか見分けられず、 意味でどちらか判断する必要があります。 つまり、 対格を支配する παρά 句の中身がどこまでなのかを見極めないといけません。 παρά 句が τραπέζια までとすると、 最初にあった冠詞の τὰ を受けるものがなくなるので、 これはあり得ません。 παρά 句が τετράπλευρα までとすると、 「その四辺形に反するトラペジオンは呼ばれよ」 と訳せはしますが、 意味が通りません。 ということで、 παρά 句は ταῦτα までであり、 そうすると続く τετράπλευρατὰ を受けることになり、 τραπέζια はその補語と解釈できます。 日本語に訳せば 「それらに反する四辺形はトラペジオンと呼ばれよ」 ですね。

τραπέζια の訳は、 既存の日本語訳を調べてもちょうど良い日本語の単語がないらしく、 ここでは単数形をそのままカタカナ化して 「トラペジオン」 としました。 「不等辺四角形」 としても良いのかもしれませんが、 これだと 4 辺が全て互いに等しくないという意味合いが出てしまう気がしてやめました。

また、 この文に出てくる τετράγωνον, ἑτερόμηκες, ῥομβοειδές は名詞としましたが、 それぞれ τετράγωνος, ἑτερομήκης, ῥομβοειδής という形容詞の中性形であるとしても良いと思います。 これらを名詞としたのは、 おそらくこの先で形容詞として使われることがないのと、 同列に定義されている ῥόμβος は名詞としないとおかしい (形容詞とすると語尾が中性形でない) ためです。 まあ、 ギリシャ語では名詞と形容詞の区別が結構曖昧なので、 たぶん明確にどちらとする方が間違っている気もしますが。