日記 (新 3 年 8 月 15 日, H976)

5 代 1 期では、 それまで 「前置副詞」 と呼ばれていたものがなくなりました。 その名の通り、 例外的に前置する副詞です。 なくした理由は簡単で、 前置する必要性がそもそもあまり感じられなかったからです。 では、 なぜこれまでは前置副詞があったのかというと、 この前置副詞に分類されるものは、 助詞句を修飾する気がしたからです。 普通に助詞句に副詞を後置すると、 助詞句内の名詞を修飾してるように見えてしまうため、 例外的に前置としたわけです。 ちなみに、 4 代までの前置副詞は 「~だけ」 と 「~も」 と 「~さえ」 の 3 つだけでした。

さて、 前置副詞がなくなり、 前置副詞だったものは普通の形容詞として使うことになりました。 要するに、 助詞句を修飾するなどという変なことは考えず、 名詞を修飾しているものと考えることにしたわけです。 例えば、 「それだけが」 という句の 「だけ」 は 「それ」 を修飾するのであって、 「それが」 という助詞句を修飾しているわけではないと考えるのです。 したがって、 昔は otuv a cot と書いていたところを、 a cot atuv と書くことになります。

そこまでは良かったんですが、 困ったことが。 例えば、 「今日勉強することだけはしたくない」 という文があったとします。 この文の 「だけ」 が修飾している対象は、 「今日勉強すること」 という節です。 そこで、 後置修飾を守って、 「今日勉強すること」 という意味の kin 節の後ろに 「だけ」 を表す tuv を置くとどうなるでしょう。

riisales a del e kin kagisisal a'l te dev atuv.

こうすると、 どう見ても dev atuv で 1 つの名詞句ができあがってしまい、 「今日だけ勉強することがやりたくない」 つまり 「今日勉強して他の日は勉強しないという状況は嫌」 という意味になってしまいます。 なるほど、 前置副詞はこういう文があってこそ存在していたわけですね。 忘れてました。

さて、 しかし、 前置副詞を復活させる気はしません。 というのも、 副詞には活用接頭辞として o がつくわけですが、 それによって前の語との音のつながりが生まれるわけです。 本当は後ろの語を修飾しているわけなので、 これは不都合です。 では、 どうしましょうか。 こうします。

riisales a del e kin atuv kagisisal a'l te dev.
今日勉強することだけはしたくない。

はい、 kin の直後に atuv をもってきます。 いささか奇妙ですが、 これしか思いつきませんでした。

さて、 そうすると文法書に加筆しないといけないですね。 ちなみに、 これは文法の変更というわけではないので、 5 代 2 期になるわけではありません。