日記 (H2109)

H2108 の話を読んでくださった方から、 Twitter で 「1 回の行為は反復なのか」 という指摘があったので、 現状の私の考えをまとめておきます。

まず、 反復表現に使う vom ですが、 一応対応する日本語は 「繰り返す」 や 「反復する」 なんですが、 そんなに強く 「繰り返す」 を意味するというわけではありません。 この単語は、 「今まさに本を読んでいる最中だ」 という意味の 「本を読んでいる」 と、 「本を最初から最後まで何度か読むうちの途中まで読んである」 という意味の 「本を読んでいる」 を区別するために作られたものです (経緯は H914, H916, H938 を参照)。 さらに、 vom はほとんど必ず助動詞的に用いられるので、 単独の動詞という感じが薄く、 機能語みたいなものです。 そのため、 あまり日本語の 「繰り返す」 を基準に意味を考えるべきではないと思います。 また、 1 回の行為を vom の語義に含めないとなると、 1 回以下と 2 回以上で意味を区切ることになりますが、 私にとっては、 1 と 2 の間で区切るより 0 と 1 の間で区切った方が論理的に自然に思えます。

なお、 「行為を何度も繰り返して行う」 という意味の動詞は、 vom とは別に volaf というものがあり、 こちらははっきり反復を表すので、 2 回以上その行為を行っていることを意味します。